補助金「完了期限」の二大パターンと、終わらなかった時の末路 ──「いつまでに」が招く致命的なズレ

採択スケジュール

補助金には、制度の性格によって異なる「時間の壁」が存在します。この壁を超えた瞬間に、それまでの努力が水泡に帰すリスクを孕んでいます。

目次

1. 採択からの「カウントダウン型」(経済産業省系に多い)

事業期間が「採択日から14ヶ月以内」のように、個別の着手日から一定期間と決まっているパターンです。

特徴

採択時期が多少ずれても、一定の準備・実施期間が確保されます。

終わらない場合

期間内に全ての納品・支払が完了していなければ、その未完了分は補助対象から除外されます。もし未完了部分が事業の根幹を成す設備である場合、事業全体が「未完了」とみなされ、最悪の場合は交付決定の全額取消し(不交付)となります。

2. 「年度末一斉終了型」(農林水産省系に多い)

採択時期に関わらず、一律に「2月中旬」や「2月末」といった年度末の特定日が期限となるパターンです。

特徴

3月末の国庫の会計年度内に支払いを完了させる必要があるため、精算払い(事業完了後に補助金が支払われる方式)が前提となり、実質的な実施期間が非常に短くなる傾向があります。

終わらない場合

期限を1日でも過ぎた納品や支払いは、原則として一切認められません。国の予算は年度ごとに管理されているため(単年度主義)、個別の事情による期限延長は、災害等の特例を除き、極めて困難です。

3. 「一部未納」が発生したときの連鎖的ダメージ

「大部分は揃ったが、一部の部品が届かない」という状態は、補助金実務において以下のリスクを招きます。

【実例】
ある食品メーカーでは、製造ライン本体は予定通り納品されたものの、海外製の制御盤が船便遅延で届かず、期限内に稼働証明ができませんでした。「本体はある」は通用しません。計画した設備が一体として機能しなければ、事業未完了です。

事業一体性の否認

補助金は「採択された事業計画」に対して支払われます。一部の設備が欠けることで計画した成果の達成が不可能と判断されると、完了している部分も含めて補助金が不交付になることがあります。

実績報告の不備

実績報告には、全ての証憑(納品書、振込証明等)が揃っている必要があります。一部でも欠けていれば、金額の確定(額の確定通知)ができず、支払いが停止します。

現物確認での否認

事業完了後の現地調査で現物が確認できない場合、その経費は対象外となるだけでなく、虚偽報告の疑いをかけられるリスクもあります。

4. 現場での「出口戦略」

期限内に終わらない、あるいは一部未納が予見された瞬間に、事業者が取るべき行動は一つしかありません。

「遅延届出」と「計画変更」の即時実行

遂行が困難となった時点で速やかに届出を出し、事務局の指示を仰ぐ必要があります。「なんとかなるかもしれない」と様子を見ている時間はありません。

縮小完了の承認

間に合わない設備を切り離しても事業目的が達成できる場合、事前に計画変更の承認を得ることで、納品済みの部分だけで「事業完了」として着地させることが唯一の救済策となります。

結論

「終わらない補助金」に価値はありません。特に農水省系のように年度末が絶対的な壁となる事業では、「早めの発注」と「納期遅延への予備計画」が、採択されること以上に重要です。

「間に合いませんでした」という事後報告は、受給権利の自発的な放棄と同じ重みを持つことを、全ての事業者は肝に銘じておくべきです。

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✍️ この記事を書いた人

北條竜太郎|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

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https://timerex.net/s/rhojyo/e76c8415

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