【強い農業づくり総合支援交付金シリーズ 第4回】強い農業づくり補助金の対象設備一覧|使える施設・使えない費用を徹底解説


どんな設備なら補助金の対象になるの?



産地の施設なら何でも対象になるのか、それとも細かい要件があるのか……
そう感じている食品メーカーのご担当者の方、この記事がまさにその答えです!
「どんな設備なら補助金の対象になるの?」は、現場で最もよく聞かれる質問のひとつです。
今回は対象となる施設・設備を7つのカテゴリに分けて整理し、「対象外になりやすいもの」や「設置場所による違い」も含めて実務レベルで解説します!
- 【一覧】対象となる施設・設備
- 【注意】対象外となるもの
- 【重要】「どこに」設置するかの問題
- 【参考】設備投資の費用感
- 【具体例】食品メーカーに関係の深い施設パターン
- 【判断】経産省系補助金との使い分け
それでは、「使えるもの」から順番に見ていきましょう。まずは対象となる施設・設備の全体像を一覧で整理します!
1.【一覧】対象となる施設・設備
強い農業づくり総合支援交付金(産地基幹施設等支援タイプ・食料システム構築支援タイプ)で対象となる施設・設備を、以下のようにカテゴリ別に整理しました。
| カテゴリ | 対象となる施設・設備 | 具体例 |
|---|---|---|
| 集出荷施設 | 農産物の集荷・選別・出荷を行う施設 | 選果場、パッキングセンター(農産物の選別・梱包・出荷を一括で行う施設)、自動選果ライン、野菜集出荷場 |
| 貯蔵・保管施設 | 農産物の品質を維持しながら保管する施設 | 予冷庫、CA貯蔵庫(空気組成を調整して鮮度を保つ貯蔵設備)、冷凍冷蔵倉庫、乾燥貯蔵施設、米穀貯蔵サイロ(穀物を大量に保管する大型の貯蔵タンク) |
| 乾燥調製施設 | 穀物等の乾燥・調製を行う施設 | ライスセンター(稲を乾燥・精米する共同施設)、カントリーエレベーター(米の倉庫)、乾燥機、色彩選別機(色や形をセンサーで判別し、不良品を自動で取り除く装置) |
| 一次加工施設 | 原料の洗浄・カット・冷凍等の一次加工(原料の形を整えて保存性を高める処理)を行う施設 | 野菜カット工場、冷凍加工施設、皮むき・カット・ブランチングライン(下茹でする工程) |
| 物流関連 | 産地から実需(食品メーカーなど農産物を買って使う側の事業者)への効率的な輸送を支える施設 | 中継物流拠点、共同配送センター、コールドチェーン設備(低温を保ったまま輸送する仕組み) |
| 品質管理・DX | 品質向上やサプライチェーン(調達から出荷までの流れ)最適化のためのシステム | 糖度・酸度計測装置、トレーサビリティシステム(生産履歴を記録・追跡できる仕組み)、受発注・在庫管理システム |
| GX・省エネ設備 | 脱炭素・省エネ(GX:温室効果ガスを減らしながら経済成長を目指す取り組み)につながる設備(2026年注目分野) | 省エネ型冷凍冷蔵設備、廃熱利用ボイラー、太陽光発電、ヒートポンプ乾燥機(電力で熱を効率的に作り出す省エネ乾燥機) |
中でも2026年に注目すべきは、最後のカテゴリ「GX・省エネ設備」です!
🔴 【2026年注目】GX(脱炭素)設備は優先採択されやすい
原油価格の高騰や国際情勢の不安定化でエネルギーコストが経営を圧迫するいま、国は「経済安全保障」「エネルギー強靭化(エネルギー供給が途絶えても事業を止めない体制づくり)」を重点政策に掲げています。この流れを受けて、GX関連設備は優先的に採択される傾向が強まっているのです!
- 省エネ型冷凍冷蔵設備(自然冷媒(CO2やアンモニアなど環境負荷の低い冷媒)や、高効率インバータ(電力消費を自動調整する省エネ技術)を使ったもの)
- 廃熱利用ボイラー(工場や施設で出る排熱を捨てずに、一次加工の熱源として再利用する設備)
- ヒートポンプ式乾燥機(灯油を燃やす従来型から、電気で効率的に熱を作る方式への転換)
- 太陽光発電+蓄電池(施設の屋根などに設置し、発電した電力を施設内で使い切る自家消費型)
計画書で「CO₂削減効果」「エネルギーコスト削減率」をロジカルに数値化できると、採択審査で有利になります!
ここまでが対象施設のカテゴリです!ただし、これらの施設が補助対象になるためには、いくつかの共通要件を満たす必要があります!
■ 対象設備の共通要件
上記の施設であっても、補助金の対象になるには以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- その施設が、産地の競争力を高め、国産原料の安定供給につながるものであること
- 特定の1社だけでなく、複数の農業者や産地全体にメリットがある仕組みになっていること
- 県の産地計画や食料システム構築計画(産地と実需がどう連携するかをまとめた申請書類)の中に、その施設の整備がきちんと位置づけられていること
- 県から国へ要望が上がり、国(農林水産省)の審査で採択されること
「複数の農業者が利用」は、必ずしも施設を物理的に共同利用することだけを意味しません。
たとえば、複数の農業者が作った原料をこの施設に集めて、まとめて加工・出荷する――このように、施設自体は一つの主体が運営していても、産地全体にメリットが広がる形であれば対象になり得ます。
重要なのは「特定の1社だけが得をする設備ではない」ことを説明できるかどうかです。
以上の共通要件を押さえたうえで、次は「対象外」の落とし穴を確認していきましょう。
2.【注意】対象外となるもの
以下のものは対象外となります。食品メーカーが「この設備も対象になるだろう」と思い込みやすいものも含まれるので、注意が必要です。
| 対象外となるもの | 理由・補足 |
|---|---|
| 食品メーカーの自社工場内設備 | 「産地の施設」ではないため対象外。経産省系補助金(成長加速化、新事業進出等)を検討 |
| 特定企業専用の設備 | 「複数の農業者・産地全体に便益」が要件。1社だけが使う設備は不可 |
| 二次加工・最終製品製造設備 | レトルト充填、製菓・製パン、惣菜製造等は「一次加工」を超えるため対象外 |
| 小売・飲食向け最終パッケージング | 消費者向け最終包装は流通段階とみなされ、対象外となることが多い |
| 既存施設の単純更新・維持補修 | 機能向上を伴わない「現状維持」は対象外。能力増強・機能追加が必要 |
| 汎用的な事務機器・車両 | PC、一般事務用品、普通乗用車等は対象外(専用トラック・冷凍車等は検討可) |
これらの対象外の中でも、食品メーカーが最も判断に迷うのが「一次加工」と「二次加工」の境界です。
■ 「一次加工」と「二次加工」の境界線
以下の表で整理しました!
| ✔ 一次加工(対象になりやすい) | ✖ 二次加工(対象になりにくい) |
|---|---|
| 洗浄、選別、カット、ブランチング(下茹で) 冷凍、乾燥、粉砕、搾汁(果物や野菜を搾って汁にすること) 皮むき、種抜き、ヘタ取り | 調理、味付け、調味 レトルト加工、缶詰製造 製菓、製パン、麺類製造 惣菜製造、弁当製造 |
「原料の形を整える・保存性を高める」のが一次加工、「味や形を変えて製品にする」のが二次加工です。
境界は個別判断になることも多いので、計画段階で県に確認することをお勧めします。
対象外の把握ができたところで、もう一つ重要な「設置場所」の問題を整理します。
3.【重要】「どこに」設置するかの問題
実は、まったく同じ設備でも、設置する場所によって「対象」にも「対象外」にもなります。
| 設置場所 | 対象になりやすさ | ポイント |
|---|---|---|
| 産地内 (JA敷地、産地センター) | ◎ 最も対象になりやすい | 産地の共同利用施設として整合性が高い |
| 産地と実需(食品メーカー等)の 中間地点(物流拠点) | ○ 条件次第で対象 | 広域物流の効率化など、明確な目的が必要 |
| 食品メーカーの工場敷地内 | △ 原則対象外 | 自社専用施設とみなされやすい。経産省系補助金を検討 |
| 消費地 (都市部の物流センター等) | ✖ 対象外 | 「産地」の施設ではないため対象外 |
表を見て『なぜ場所でこんなに差がつくの?』と思った方もいるかもしれません。
理由はシンプルです!
■ なぜ設置場所が重要なのか
この補助金はあくまで「産地の施設を整備する」ための制度です。そのため、食品メーカーの工場敷地内に設置すると、たとえ産地から届く原料を受け入れるための施設であっても、「それはメーカーの自社設備でしょう」と判断されやすくなるのです。
食品メーカーが深く関わる一次加工施設であっても、設置場所を「産地内」にすることで補助対象になりやすくなります。実際の工夫例を3つ紹介します!
例1 JA(農業協同組合)の敷地内にカット野菜工場を建設し、食品メーカーが「この量を何年間買い続けます」という長期利用契約を結ぶ
例2 産地センター(農産物の集荷・出荷の拠点施設)内に冷凍施設を増設し、その中にメーカー向けの専用ラインを設ける
例3 第3セクター方式(自治体・JA・食品メーカーが共同出資して作る事業体)で産地内に施設を建設し、メーカーも出資・運営に参画する
※「産地の施設」として整備し、メーカーはその「利用者・パートナー」として関与する——これが基本形です。
設置場所の原則が整理できたところで、実際の費用感を見ていきましょう!
4.【参考】設備投資の費用感
参考として、強い農業づくり総合支援交付金で整備される施設の費用の目安を示します。
| 規模感 | 事業費目安 | 施設イメージ | 補助額 (1/2の場合) |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 5,000万〜1億円 | 予冷庫増設、選別ライン更新、DX(デジタル技術を使った業務の効率化)システム導入 | 2,500万〜5,000万円 |
| 中規模 | 1億〜5億円 | 集出荷施設新設、冷凍冷蔵倉庫、カット野菜ライン | 5,000万〜2.5億円 |
| 大規模 | 5億〜15億円 | 大型ライスセンター、広域集出荷施設、大規模冷凍加工施設 | 2.5億〜7.5億円 |
| 超大規模 | 15億円以上 | 県域・広域の物流拠点、複合型産地センター | 7.5億円以上 |
※費用はあくまで目安です。立地、仕様、建築条件等によって大きく変動します。
また、2026年現在、注意すべき大きな変動要因があります!
2024〜2026年にかけて、施設を建てるためのコストが全体的に大きく上がっています。
- 鉄骨・コンクリート:2〜3年前と比べて20〜30%上昇
- 冷凍冷蔵設備:半導体不足(電子部品の供給不足)や冷媒の規制強化の影響で10〜20%上昇
- 人件費(施工費):建設業界の人手不足を背景に15〜25%上昇
「2年前の相場感」で計画を立てると、実際の見積もりで大幅に予算オーバーするケースが頻発しています。
以下の3つを意識して、計画段階からコスト変動に備えてください。
- できるだけ早い段階で概算見積もりを取る(構想段階でも「ざっくりいくらかかりそうか」を把握しておく)
- 事業計画には予備費(総額の10〜15%)をあらかじめ組み込んでおく
- 申請してから実際に着工するまでの期間(半年〜1年)の間に価格が動くリスクを織り込んでおく
費用が上がっている中で気になるのが、「そもそもこの補助金にはいくらまでという上限はあるのか?」という点です。
強い農業づくり総合支援交付金には、経産省系のような「補助上限○億円」という明確な上限はありません。
ただし、「いくらでも出る」わけではなく、実際には県ごとに割り当てられる予算の枠や、国全体の配分額によって制約を受けます。現実的なラインとしては「1つの事業あたり数億〜10億円規模」が目安です。
それを超える超大規模案件(20億円以上)になると、県の産地計画にしっかり位置づけてもらうことや、国(農林水産省)との事前調整が必要になるケースが多くなります。
では、費用感を把握したうえで、食品メーカーに直接関係の深い施設パターンを具体的に見ていきます。
5.【具体例】食品メーカーに関係の深い施設パターン
「実際にどんなケースで使われるのか」をイメージしやすいように、3つのパターンに分けて紹介します。
パターン①:加工用野菜の一次処理施設
| 【想定シーン】 | 【施設イメージ】 |
|---|---|
| 食品メーカーが国産野菜(トマト、玉ねぎ、キャベツ等)の調達を増やしたい 現状は産地から「原体(加工前の農産物そのまま)」で入荷し、自社工場で洗浄・カットしている 産地側で一次処理(洗浄・カット・冷凍)まで済ませてもらえれば、自社の生産効率が上がる | 産地内にカット野菜工場を新設(洗浄・カット・ブランチング(加熱処理)・冷凍ライン) JA主体で建設、食品メーカーは5年の長期契約でコミット(取引量を約束) 事業費:約3億円、補助額:約1.5億円(1/2) |
パターン②:果汁原料の集出荷・貯蔵施設
| 【想定シーン】 | 【施設イメージ】 |
|---|---|
| 飲料メーカーが国産果汁(みかん、りんご等)の調達を安定させたい 収穫期に集中する原料を、年間通じて安定供給したい 産地側の貯蔵能力がボトルネックになっている | 選果場の拡張+CA貯蔵庫(鮮度を保つ特殊貯蔵庫)の新設 JA連合会主体で建設、飲料メーカー2社が連携者として参画 事業費:約5億円、補助額:約2.5億円(1/2) |
パターン③:サプライチェーンDX+品質管理システム
| 【想定シーン】 | 【施設・システムイメージ】 |
|---|---|
| 食品メーカーが輸出を視野に入れ、生産履歴のトレーサビリティ(追跡管理)を強化したい 産地〜工場の受発注・在庫管理を効率化したい 需要予測に基づく契約栽培を実現したい | トレーサビリティシステム導入(QRコード管理、生産履歴記録) 受発注・在庫管理システム(クラウド型) 糖度・酸度計測装置(光センサー式) 事業費:約8,000万円、補助額:約4,000万円(1/2) |
具体的なパターンが見えたところで、最後に経産省系との使い分けを整理します。
6.【判断】経産省系補助金との使い分け
ここまで見てきたように、強い農業づくり総合支援交付金は「産地の施設」が対象です。では、食品メーカーの「自社工場内の設備」を整備したい場合はどうすればよいのでしょうか?
■ 産地側の施設(集出荷・一次加工・貯蔵等)
→ 強い農業づくり総合支援交付金(産地基幹施設・食料システム構築)
■ 自社工場内の設備(製造ライン・生産設備)
→ 経産省系補助金(大規模成長投資、成長加速化、新事業進出等)
■ 両方必要な場合
→ 組み合わせて活用(産地側は農水省系、工場側は経産省系)
第1回でも触れましたが、これらの補助金は「どこに投資するか」で使い分けるのが基本です。
【産地側】強い農業(食料システム構築支援タイプ)
・一次加工施設(カット・冷凍)を産地に新設
・トレーサビリティシステム導入
・事業費3億円 → 補助1.5億円
【自社工場側】成長加速化補助金
・受入ライン・二次加工ライン更新
・自動包装・検査装置導入
・事業費2億円 → 補助6,600万円(1/3)
合計:事業費5億円、補助額2.16億円
「この設備は対象になるか」「産地側と工場側をどう切り分けるか」「どの枠組みを組み合わせるか」——これらは個別判断が必要な領域です。
私たちアカネサスは、農水省系・経産省系の両方の補助金に精通し、最適な組み合わせを設計してきました。
採択の8割は、書類を書く前に決まっているのです。
「この設備投資は対象になるか?」と思った方は、記事の最後に無料の活用診断(オンライン30分)をご用意していますので、お気軽にご利用ください。
次回は、「実際に申請するにはどう動けばいいのか」を解説します。申請から採択までにかかる時間、県と国の2段階審査でそれぞれ何が見られるのか、採択される計画に共通する特徴、そしてよくある落選パターンとその防ぎ方まで、具体的にお伝えします。
第1回:食品メーカーのための農水省補助金入門|強い農業づくり総合支援交付金とは
第2回:強い農業づくり総合支援交付金の全体像|3タイプの違いと食品メーカーの関わり方
第3回:食品メーカーが補助金申請で「主役」になる方法|産地との連携設計と協議会参画
▶ 第4回:強い農業づくり補助金の対象設備一覧|使える施設・使えない費用を徹底解説 ◀今ここ
第5回:強い農業づくり補助金の申請方法と採択率を上げるコツ|スケジュール・審査基準
第6回:強い農業づくり補助金 成功事例3選|食品メーカーの産地連携モデルを解説
第7回:強い農業づくり補助金を使う企業が農水省を選ぶ理由
第8回:強い農業づくり補助金 よくある質問FAQ|規模・JA・費用・期間を解説
第9回:強い農業づくり補助金 活用まとめ|食品メーカーが今すぐやるべき2026年対策(準備中)
※注釈
- 本記事では「強い農業づくり総合支援交付金」のうち、「産地基幹施設等支援タイプ」と「食料システム構築支援タイプ」で対象となる施設・設備を解説しています。
- 対象範囲は年度・地域・事業内容によって異なる場合があります。具体的な可否は県・市町村にご確認ください。








