【食品工場省エネ対策シリーズ 第5回 】省エネ投資の効果を数字で示す方法|補助金申請にも使えるKPI・指標の計算と活用法  

省エネ投資の効果を数字で示す方法のアイキャッチ

省エネ設備を導入したいが、どんな指標で効果を説明すればいいのかわからない…..

補助金の申請書に”投資効果”を書く欄があるけど、何を書けばいい?

そんなお悩みを持つ食品工場の担当者の方へ、省エネ投資の効果を「人・モノ・お金」の3軸で数字にする方法と、補助金申請で使える指標をわかりやすく解説していきます。 

📋 この記事でわかること 
  • 省エネ投資の効果を「人・モノ・お金」の3軸で数字にする方法 
  • 各指標の計算式と、すぐ使える記載例 
  • 補助金申請で「最低限押さえる」4つの数字 
  • 効果を数字にするために、事前に集めておくべきデータ 

省エネ投資を検討する際、「どのくらい効果があるのか」を数字で示すことが求められます。社内での投資決裁、金融機関への説明、そして補助金申請——どれも定量的な効果の説明(数字で裏づけること)が欠かせません。 

省エネ投資の効果は、「人(工数・労働生産性)」「モノ(生産性・品質)」「お金(コスト・投資回収)」の3軸で整理すると、ぐっとわかりやすくなります。 

 何を示すか 主な指標 
👤 人 省力化・労働生産性の向上 人時削減率、人時生産性 
📦 モノ 生産ライン能力・製品品質の改善 タクトタイム(1つの製品を作るのにかかる時間)の短縮率、OEE(総合設備効率)、不良率・歩留まり(原材料からどれだけ良品を作れたかの割合) 
💴 お金 投資コストと回収の合理性 年間削減コスト、ROI(投資対効果)、回収年数 
目次

1. 人の指標:省人化・工数削減 

省エネ投資は、しばしば省力化や自動化と同時に行われます。その際に使われる指標が「人時削減率」と「人時生産性」です! 

📊 人時削減率(省人化効果) 

投資前後で作業時間がどれだけ減ったかを示す指標のことです。農林水産省の省力化投資補助金などでは「省力化指数」として必須の申請項目になっています。 

計算式(人時削減率 

(導入前の作業時間 − 導入後の作業時間)÷ 導入前の作業時間 × 100% 

例:月間作業時間が 100時間 → 40時間 に減った場合 → 人時削減率 = 60% 

📊 人時生産性(1人1時間あたりの生産量) 

労働投入量あたりの生産量を示す指標のことです。自動化や設備更新により「同じ人数・時間でより多く作れるようになった」ことを示す際に使います。投資前後で「人時生産性が○%向上」と示すと、労働生産性の改善が一目でわかります。 

計算式(人時生産性) 

(導入前の作業時間 − 導入後の作業時間)÷ 導入前の作業時間 × 100% 

生産量 ÷ 作業人数 ÷ 作業時間 

例: 月産10,000個 ÷ 5人 ÷ 160時間 = 12.5個/人時 → 設備更新後 18.75個/人時(50%向上) 

2. モノの指標:生産性・品質 

設備更新や自動化により、生産ラインの能力や製品品質がどう変わったかを示す指標です。 

⏱️ タクトタイム/サイクルタイム短縮率 

1つの製品を作るのにかかる時間(タクトタイム)がどれだけ短縮されたかを示します。同じ稼働時間でより多く作れる=ライン能力が上がったことの証明になります。 

計算式 

(導入前タクト − 導入後タクト)÷ 導入前タクト × 100% 

例:タクトタイムが 30秒 → 20秒 に短縮 → 短縮率 ≒ 33% 

⚙️ OEE(総合設備効率) 

設備の総合的なパフォーマンスを示す指標のことです。OEE(Overall Equipment Effectiveness:稼働率・性能・品質の3要素を掛け合わせた設備の総合効率)は、設備更新の効果を総合的に説明したいときに最適です。 

計算式 

稼働率 × 性能 × 品質 

例:稼働率85% × 性能90% × 品質95% → OEE ≒ 73% 

OEEの構成要素 意味計算のポイント 
稼働率 計画時間のうち実際に動いていた時間の割合 実稼働時間 ÷ 計画時間 
性能 理論上の生産速度に対する実際の速度の割合 実際の生産速度 ÷ 理論上の生産速度 
品質(良品率) 良品率(不良品を除いた割合) 良品数 ÷ 総生産数 

💡 使い方のポイント 

設備更新・自動化により OEEが 65% → 80% に改善、といった形で総合的な生産性向上を数字で示せます。 

✅ 不良率・歩留まり 

原材料からどれだけ良品を作れたかの割合のことです。不良品が減ると廃棄ロスが減り、再生産にかかる原材料・エネルギーも抑えられるため、品質向上はそのまま省エネ・コスト削減にもつながります。 

指標計算式 記載例
不良率 (ふりょうりつ) 不良品数 ÷ 総生産数 (良品+不良品数)× 100% 2.0% → 0.7% に改善 
歩留まり (ぶどまり) 良品数 ÷ 投入数(ラインに投入した原材料の量) × 100% 95% → 98% に向上 

※不良率は総生産数の中における不良品の割合、歩留まりは投入した原材料量のうち商品として使えた量の割合を表しています。見方としては逆の関係にあるため混同しやすいですが、品質を測る指標として両方押さえておくと便利です。 

3. お金の指標:コスト・投資回収 

投資判断において最も重視されるのがお金の指標です。経営層も金融機関も、まずここを見ます。順番に確認していきましょう! 

💴 年間削減コスト 

投資により年間でどれだけのコストが削減されるかを示します。省エネ投資の場合、以下の項目ごとに削減額を計算し、合計します。

削減項目 計算の考え方 
電力費削減額 削減電力量(kWh)× 電力単価(円/kWh) 
燃料費削減額 削減燃料量(L、m³など)× 燃料単価 
人件費削減額 削減工数(時間)× 時間単価(円/時間) 
廃棄・不良削減額 削減廃棄量(kgなど)× 製品原価(円/kg) 
保守費削減額 旧設備と新設備の保守費差額 

これらを計算し、合計して「年間○○万円の削減効果」と示します。 

📈 ROI(投資対効果) 

投資額に対してどれだけのリターン(見返り)があるかを示す指標のことです。ROI(Return On Investment:投資回収率)が高いほど投資効率が良く、複数の投資案件を比較するときに役立ちます。 

計算式 

年間削減コスト − 年間維持費)÷ 初期投資額 × 100%  

🔄 回収年数(かいしゅうねんすう) 

投資額を何年で回収できるかを示す、最もシンプルで伝わりやすい指標のことです。補助金を活用した場合は、実質負担額(投資額 − 補助金額)を年間削減コストで割ります。 

計算式 

初期投資額 ÷ 年間削減コスト 

例:初期投資額 1,500万円、年間削減コスト 300万円 → 回収年数 5年 

💡 補助金活用でここまで変わる! 

補助金を使えば実質負担が減るため、回収年数は大幅に短縮されます。 

「補助金なしで10年、補助金ありで5年」といった比較を示すと、補助金活用のメリットが一目で伝わります! 

4. 補助金申請で「最低限押さえる」4つの数字 

補助金の申請書には投資効果を具体的な数字で記載する欄があります。食品工場の省エネ投資で汎用的に使えて、審査員にも伝わりやすい指標はこの4つです! 

No. 指標 何を示すか 記載例 
 人時削減率  (省人化効果) 省力化効果を示す基本指標。農林水産省の省力化投資補助金などでは必須項目。 月間作業時間 100時間 → 40時間 削減率 60% 
 タクトタイム短縮率  (または生産能力向上率) 生産性向上を示す指標。同じラインで生産量が増えたことを数字で証明。 タクトタイム 30秒 → 20秒(33%短縮) 同一ライン生産能力 1.5倍 
 不良率改善  (または歩留まり向上) 品質向上・廃棄ロス削減を示す。省エネとも関連することを補足すると説得力が増す。 不良率 2.0% → 0.7%  歩留まり 95% → 98% 
 年間削減コスト ・回収年数 投資の経済合理性を示す。補助金あり・なしの比較を入れると効果的。 年間削減 250万円(電力150万+人件費100万) 実質投資額750万円、回収 3年 

💡 この4つを押さえれば申請書が書きやすくなる! 

これら4つを揃えておけば、省エネ投資の効果を「人・モノ・お金」の観点から一通り説明できます。

逆にこれらが書けない=現状のデータ整理ができていないサインです。  

それでは次のセクションで準備方法を確認しましょう! 

5. 数字を出すための準備 

効果を数字で示すには、投資前の現状を把握しておく必要があります。「データがない」は禁句です!事前に以下を整理しておきましょう。 

データの種類 何を・どう集めるか 
電力・燃料の使用量データ 電力会社の請求明細、燃料の購入伝票などを月別・年別に整理。できれば設備別・ライン別の使用量を計測しておくと、省エネ余地が見えやすくなります! 
作業時間・人員配置データ 各工程の作業時間と配置人員を記録。投資後に「どの工程で何時間削減されたか」を示すために必要です。 
生産量・不良数データ 日報や月報から生産量、不良数、廃棄量を整理。一定期間のデータを蓄積しておきましょう。 
設備の稼働データ 稼働時間、停止時間、故障頻度などを記録。OEE(総合設備効率)の算出や設備更新効果の説明に直結します! 
⚠️ データなし=審査も決裁も通りにくい! 

データが揃っていれば、投資効果のシミュレーションも補助金申請書の作成もスムーズに進みます。 

逆に、データがないと「効果の見込み」が曖昧になり、社内決裁も補助金審査も通りにくくなります。 

今すぐ「現状値の記録」を始めることが、補助金採択への第一歩です! 

6. 数字が出せれば判断が早くなる! 

省エネ投資の効果を数字で示せるようになると、投資判断のスピードが格段に上がります! 

説明相手 数字があることで…… 
社内(経営層) 「この投資は○年で回収できる」と示せれば、意思決定がぐっと早まります! 
金融機関 具体的な数字があれば融資判断がスムーズになります。 
補助金の審査員 定量的な効果(数字で表せるメリット)を示すことで採択率が上がります。 

「なんとなく省エネになりそう」 ではなく、 

「年間○kWh削減・○万円削減・○年で回収」と言えるかどうかが、 

投資実行の分かれ目になります! 

まとめ 

省エネ投資の効果は「人・モノ・お金」の3軸で数字にします。 

  • 👤 人:人時削減率、人時生産性 
  • 📦 モノ:タクトタイム短縮率、OEE(総合設備効率)、不良率・歩留まり 
  • 💴 お金:年間削減コスト、ROI(投資対効果)、回収年数 

補助金申請では、以下の4つを押さえておけば投資効果を一通り説明できます。 

 ① 人時削減率 ② タクトタイム短縮率 ③ 不良率改善 ④ 年間削減コスト・回収年数 

数字を出すには投資前の電力・燃料使用量、作業時間、生産量・不良数、設備稼働データを整理しておくことが重要です。データが揃っていれば、社内決裁も補助金審査も通りやすくなります! 

シリーズ全5回のまとめ 

ここまでお読みいただきありがとうございます。本シリーズでは、食品工場で使える省エネ系補助金と、省エネ投資のポイントを5回にわたって解説していきました。 

省エネ投資は、電気代・燃料費の削減だけでなく、生産性向上、品質改善、BCP強化(事業継続計画:災害時でも事業を止めないための備え)、脱炭素対応など複数のメリットをもたらします。補助金を活用すれば投資回収年数を大幅に短縮でき、投資判断のハードルが下がります。 

自社の設備状況と投資計画に合った補助金を選び、効果を数字で示すことで、省エネ投資を着実に進めていただければ幸いです。 

以下に今回のシリーズのリンクを貼っておりますので、もう一度他の記事内容を確認される場合にご活用ください! 

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

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