HACCPハード事業申請解説【第2回】対象になる設備・工事と「掛かり増し経費」の考え方

HACCPハード事業を活用しようと考えたとき、最初に気になるのは「自社の設備投資が補助対象になるのか」という点ではないでしょうか。
結論から言うと、「輸出向けHACCP等の認証取得に必要な設備・工事」であれば対象になるんですが、単なる老朽化による更新や省人化目的だけでは対象外になってしまいます。それと、設備投資の全額が補助されるわけではなく、「掛かり増し経費」のみが補助対象になる点も重要なポイントなんです。
本記事では、補助対象となる設備・工事の具体例から、対象外になるケース、そして多くの事業者がつまずきやすい「掛かり増し経費」の考え方まで、詳しく解説していきます。
- 補助対象となる設備・工事の具体例(カテゴリ別一覧)
- 対象外になる6つのケース
- 「掛かり増し経費」の正しい理解と計算方法
- よくある勘違い3選
補助対象となる設備・工事【カテゴリ別一覧】
HACCPハード事業で補助対象となるのは、「輸出向けHACCP等の認証取得に必要な施設・設備の整備」です。具体的には以下の5カテゴリに分類されます。
🏭 施設・建物
- 床・壁・天井の改修
- 排水溝・排水設備
- ゾーニング工事
- 空調・換気設備
- 防虫・防鼠設備
🧼 衛生管理設備
- エアシャワー
- 手洗い・消毒設備
- 殺菌装置
- 長靴洗浄・消毒槽
❄️ 温度管理設備
- 冷蔵・冷凍設備
- 温度記録システム
- コールドチェーン設備
🔬 検査・品質管理
- 金属探知機
- X線異物検査装置
- 微生物検査機器
- 計量・選別機
📦 製造・包装ライン
- 輸出向け包装機
- ラベリング装置
- CIP洗浄設備
上記はあくまで代表的な例で、輸出先の国が求める認証基準によって必要な設備は変わってきます。重要なのは「その設備がなぜ必要なのか」を、輸出計画や認証取得計画としっかり紐づけて説明できることです!
施設・設備整備に付随して、HACCP認証取得のためのコンサルティング費用や人材育成費用も、施設整備費の20%以内など一定の範囲で対象となるケースがあります。
補助対象になる?ならない?——一目でわかる比較図
「設備投資なら何でも対象」というわけではありません。まずは対象/対象外の基本的な違いを確認しましょう。

対象外になる6つのケース【詳細】
上記の「対象にならない」ケースについて、具体例とともに詳しく見ていきましょう。
| 対象外になるケース | 対象外となる理由 | 具体例 |
|---|---|---|
| ✕ 老朽化に伴う設備更新のみ | HACCP対応とは関係なく必要だった更新 | 古くなった冷蔵庫の単純な買い替え |
| ✕ 省人化・効率化目的のみ | 輸出・HACCP認証と直接関係がない | 人手不足解消のためのロボット導入 |
| ✕ 国内販売専用の設備 | 輸出向けであることが要件 | 国内向け商品専用の包装ライン |
| ✕ 汎用的な事務機器・車両 | 製造・衛生管理に直接関係しない | 営業車、パソコン、事務机 |
| ✕ 土地の取得費用 | 補助対象外経費 | 工場用地の購入費 |
| ✕ 既に発注・着工済みの工事 | 交付決定前の経費は対象外 | 申請前に契約済みの設備 |
特に注意が必要なのが、「老朽化更新」と「HACCP対応」の線引きなんです。例えば、20年使った冷蔵庫を買い替える場合、単純な更新だけなら対象外になってしまいます。でも、「HACCP認証のために温度記録機能付きの機種にグレードアップする必要がある」という場合は、そのグレードアップ分(掛かり増し経費)が対象になるんです。
「掛かり増し経費」とは?正しい理解と計算方法
HACCPハード事業で最もつまずきやすいのが「掛かり増し経費」の考え方。これは「HACCP対応のために追加で必要になった費用」を指しています。
掛かり増し経費の定義
掛かり増し経費とは、以下の2つの条件を満たす費用です。
- HACCP等の認証対応という目的がなければ発生しなかった費用
- 通常の設備更新・工事だけなら要らなかった「追加分」の費用
掛かり増し経費の考え方
冷蔵設備を例に、掛かり増し経費の考え方を図解します。

このように、設備投資の総額ではなく「HACCP対応のために上乗せした部分」だけが補助対象となります。申請時には、この掛かり増し経費を明確に算出・説明できる資料が必要となります。
掛かり増し経費の具体例
- 一般的な冷蔵庫 → 温度記録機能付き冷蔵庫:差額分が掛かり増し
- 通常の床材 → HACCP対応の防水・抗菌床材:差額分が掛かり増し
- 元々不要だったエアシャワーを新設:全額が掛かり増し
- ゾーニング(汚染区域と清潔区域の分離)工事:全額が掛かり増し
よくある勘違い3選
HACCPハード事業について、多くの事業者が陥りがちな勘違いをまとめました。申請前に必ず確認しておきましょう。
- 💭 勘違い1:
Aさん設備投資額の全額が補助されるんでしょ?
▼ 実際は…

専門家

✅ 掛かり増し経費のみが対象。通常更新分(老朽化による更新など)は補助されません。
- 💭 勘違い2:

Bさん

国内向けHACCP対応でも使えるよね?
▼ 実際は…

専門家

✅ 輸出向けであることが必須要件。国内販売のみは対象外です。
- 💭 勘違い3:

Cさん

申請すればほぼ通るって聞いたけど…
▼ 実際は…

専門家

✅ 審査あり。輸出計画の具体性・実現可能性が厳しく問われます。
まとめ——「なぜその設備が必要か」を説明できることが重要
HACCPハード事業の補助対象を理解するポイントは以下の3つです。
- 輸出向けHACCP等の認証取得に必要な設備・工事が対象
- 老朽化更新のみ、省人化目的のみ、国内向けのみは対象外
- 設備投資の全額ではなく「掛かり増し経費」のみが補助対象
次回(第3回)は、「スケジュール全体像と『半年〜1年前準備』が必要な理由」について解説します。HACCPハード事業は準備期間が長いため、早めの計画が成功の鍵となります。
次回(第2回)では、「対象になる設備・工事と『掛かり増し経費』の考え方」について詳しく解説していきます。「何が補助されて、何が補助されないのか」を正しく理解することが、申請成功の第一歩になります!
✍️ この記事を書いた人
北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役
老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、
食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。
補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。
【会社実績】
・支援プロジェクト総事業費:363億円
・補助金採択額:126.5億円
・北海道から沖縄まで全国対応
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