HACCPハード事業申請解説【第4回】ISO・FSSC・JFS-C・ハラール—— 輸出先国で変わる認証要件を解説

HACCPハード事業を活用するにあたり、最初に決めるべきは「どの国に・どの認証で輸出するか」です。 

輸出先国によって求められる認証は異なります。米国・EU向けならFSSC22000、イスラム圏向けならハラール認証——この選択が設備投資の内容にも直結するため、計画の最初の段階で明確にしておく必要があります。 

本記事では、主要な認証規格の特徴と、輸出先国別の要件を整理します。 

この記事でわかること 
  • ISO22000・FSSC22000・JFS-C・ハラールの違い 
  • 輸出先国別の認証要件【早見表】 
  • GFSI承認規格(FSSC・JFS-C・SQF)の比較 
  • 認証選びのフローチャートと整理ワークシート 
目次

主要な認証規格——7つの選択肢

HACCPハード事業で「目指すべき認証」として挙げられる主な規格は以下の7つになります。それぞれの特徴を押さえておきましょう。 

🌐 

ISO22000
食品安全の国際規格

  • HACCPをベースにマネジメントシステムを統合 
  • 国際的に広く認知 
  • FSSC・JFS-Cの基盤 

🏆  

FSSC22000 
GFSI承認の国際規格 

  • ISO22000+追加要求事項 
  • 欧米大手小売・食品企業が要求 
  • 最も厳格な国際認証の一つ

🔴  

JFS-C
日本発のGFSI承認規格 

  • 日本語で取得可能 
  • FSSC22000と同等レベル 
  • 国内審査機関が対応 

☪  

ハラール認証 
イスラム法に準拠 

  • 中東・東南アジア向け必須 
  • 原材料・製造工程の適合 
  • 認証機関により基準が異なる 

🇪🇺

EU-HACCP 
対EU輸出水産食品の施設認定 

  • 水産物・水産加工品に特化 
  • 水産庁・厚労省が施設を認定 
  • EU水産衛生基準への適合が必要 

🇺🇸

FSMA対応 
米国食品安全強化法への対応

  • 法律ベースの義務要件(認証ではない) 
  • FDA施設登録・食品安全計画が必須 
  • 第三者認証(TPP)は任意制度 

🏛️   

適合施設認定
輸出促進法第17条に基づく認定 

  • 農水省による日本側の施設認定 
  • 米国・EU等向け輸出で活用 
  • 輸出先国の要求に応じた認定 

このほかにも、BRC(英国小売協会規格)やIFS(国際食品規格)などがありますが、日本企業が最初に取得・対応する認証・認定としては上記7つが一般的です。 

コラム➀:FSMA対応の正しい理解(アメリカへの輸出) 

まず押さえておきたいのが、FSMAは「認証制度」ではないという点です。 

FSMAとは米国食品安全強化法という法律の名称であり、ISOのような民間の認証スキームとは性質が異なります。そのため「FSMA認証を取得する」という表現は正確ではなく、あくまでも法律上の義務要件として対応が求められるものです。 

具体的には、FDA施設登録と食品安全計画(Preventive Controls)の策定・運用が必須対応となります。一方で、FDAが認定する第三者認証(TPP)は任意の制度であり、VQIP等の通関優遇を受ける際に活用されるものです。 

HACCPハード事業における「FSMA対応」とは、認証を取ることではなく、FSMAの要件を満たせる工場の設備や仕組みを整備することを指します。この点をしっかり理解したうえで、準備を進めていきましょう。 

コラム②:EU-HACCPとは?(水産物輸出の場合)  

日本で「EU-HACCP」と呼ばれているものは、水産庁・厚労省が所管する「対EU輸出水産食品取扱施設の認定制度」のことを指します。 

対象となるのは水産物・水産加工品をEU向けに輸出する施設に限られており、HACCPによる衛生管理に加えて、EUの水産衛生基準への適合が求められます。 

ただし、注意が必要なのは水産以外の品目です。菓子・調味料・飲料などをEUに輸出する場合は、EU-HACCPの対象外となります。この場合は一般的なHACCP運用を前提としつつ、添加物・残留農薬・微生物基準といった品目ごとのEU規則に個別に適合していく対応が必要になります。 

「EU向けに輸出したい=EU-HACCPを取ればいい」というわけではない点を、まずしっかり押さえておきましょう。」  

輸出先国別の認証要件【早見表】

輸出先国によって、求められる認証や追加の手続きは異なります。主要な輸出先別の要件を一覧にまとめました。 

輸出先国・地域主な認証要件備考・注意点 
🇺🇸 米国 FSMA対応(法令義務) FDA施設登録・食品安全計画が必須。FSSC等のGFSI認証があると取引で有利 
🇪🇺 EU(水産物) EU-HACCP認定(必須) 水産庁・厚労省による施設認定が必要。EU水産衛生基準への適合 
🇪🇺 EU(水産以外) HACCP運用+EU規則適合 一般HACCP運用に加え、添加物・残留農薬・微生物基準等への個別適合 
🇬🇧 英国 BRC / FSSC22000 Brexit後、EU向けとは別の対応が必要なケースあり 
🇨🇳 中国 ISO22000 / HACCP認証 GACC(税関総署)への施設登録が必須。品目により追加要件 
🇭🇰 香港 ISO22000 / HACCP認証 比較的参入しやすい。日本食品の需要大 
🇹🇼 台湾 ISO22000 / HACCP認証 FDA登録、中国語ラベル対応が必要 
🇸🇬 シンガポール ISO22000 / FSSC22000 SFA(食品庁)への届出。ハラール認証があると有利 
🇹🇭 タイ ISO22000 / GMP FDA Thailand への届出。ハラール認証で市場拡大 
🇻🇳 ベトナム ISO22000 / HACCP認証 成長市場。ハラール対応で差別化可能 
🇮🇩 インドネシア ハラール認証(必須) 2024年以降、食品はハラール認証が義務化 
🇲🇾 マレーシア ハラール認証(推奨) JAKIM認証が最も信頼される。非ハラールも可だが市場限定 
🇸🇦 サウジアラビア ハラール認証(必須)+ SFDA登録 厳格なハラール基準。SFDA への施設・製品登録必須 
🇦🇪 UAE ハラール認証(必須)+ ESMA登録 ドバイは中東のハブ。厳格なハラール基準 
💡 ポイント:認証だけでなく「施設登録」も必要 

多くの国では、認証取得とは別に、輸出先国の当局への「施設登録」が必要です。中国のGACC登録、米国のFDA施設登録などが代表例で、これらの手続きも計画に織り込んでおく必要があります。 

GFSI承認規格の比較——FSSC vs JFS-C vs SQF 

GFSI(世界食品安全イニシアチブ)が承認した規格は、国際的な大手小売・食品企業との取引において、いわば「共通言語」として機能しています。 

「どの認証を取ればいいの?」とお悩みの方も多いかと思いますが、まずは代表的な3つの規格を比較しながら見ていきましょう。 

比較項目 FSSC22000 JFS-C SQF 
発祥 オランダ 日本 米国 
国際的普及度 ◎ 最も普及 ○ 拡大中 ○ 米国中心 
日本語対応 △ 英語中心 ◎ 完全対応 △ 英語中心 
取得コスト目安 200〜500万円 150〜400万円 200〜500万円 
こんな企業向け 欧米向け輸出 グローバル展開 初めての国際認証 アジア向け中心 米国向け輸出 大手小売取引 

日本企業にとっては、日本語で取得でき、国内の審査機関が対応しているJFS-Cが取り組みやすい選択肢です。一方、欧米の大手企業との取引を重視する場合は、FSSC22000の方が認知度が高いというメリットがあります。 

認証選びのフローチャート

「結局、うちはどの認証を取ればいいのか?」——以下のフローチャートで整理できます。 

🔍 認証選びのフローチャート
Q1. 主な輸出先はどこ? 
🇺🇸 米国向け→ FSMA対応(必須)+FSSC22000等 
🇪🇺 EU向け(一般)→ FSSC22000 / IFS / BRC 
🇪🇺🐟 EU向け(水産物)→ EU-HACCP認定(必須) 
🇨🇳🇭🇰🇹🇼 東アジア向け→ ISO22000 または JFS-C 
🇸🇬🇹🇭🇻🇳 東南アジア向け→ JFS-C + ハラール検討
🇮🇩🇲🇾🇸🇦🇦🇪 イスラム圏向け→ ハラール認証(必須)
Q2. 取引先からの指定はある? 

ある → 指定された認証を取得 

ない → 輸出先国の一般的な要件に合わせて選択

自社製品×輸出先の整理ワークシート 

輸出を計画している製品と輸出先国を整理し、必要な認証を明確にしましょう。以下のワークシートを活用してください。 

※ このワークシートを埋めたうえで、都道府県の窓口や専門家に相談すると、話がスムーズに進みます。 

まとめ——「どの認証を目指すか」が計画の起点

今回の輸出先国と認証選びについて、ポイントを整理しておきましょう。 

  • 輸出先国によって求められる認証は異なる  
  • 欧米向けはFSSC22000、イスラム圏向けはハラール認証が基本  
  • 日本企業が初めて国際認証に取り組むなら、JFS-Cが取り組みやすい  
  • 認証選びは設備投資の内容にも直結するため、計画全体の起点として非常に重要 

「とりあえず有名な認証を取ればいい」ではなく、どの国に・何を・どう輸出するかをしっかり見据えたうえで認証を選ぶことが必要です! 

次回(第5回)は、「事前相談の進め方と県担当課との付き合い方」についてお話しします。HACCPハード事業では都道府県との事前相談が実質的に必須であり、その進め方が採択を大きく左右します。ぜひ次回もご覧ください。 

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

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