営農型太陽光(ソーラーシェアリング)補助金講座【第2回(最終回)】 ソーラーシェアリングの補助金【2026】上限1.5億円の地域共生型と、申請・一時転用許可のつなぎ方


ソーラーシェアリング、補助金っていくら取れるの? 上限だけでも知りたい



農地の許可と補助金の申請、どっちが先? 手続きが多すぎて動けない
産地の方からも、産地と組む食品メーカーの方からも、この2つはほぼ必ず聞かれます。
第1回では「営農型太陽光(ソーラーシェアリング)とは何か」を整理しました。作物を育てながら、その上で発電する——第1回から来たあなたは、もう「使えそうだ」というところまで来ているはずです。
そこで最終回のこの記事は、いちばん知りたい「お金」と「手続き」に絞ります。道筋はシンプルに、①いくら取れるか(制度別の補助率・上限)、②なぜ売電(FIT)とは組みにくいのか、③どう申請するか(農地の一時転用許可との関係)——の順で見ていきます。数字は年度・公募で動くので、最後は必ず「最新の公募要領で要確認」を添えます。
- ソーラーシェアリングで使える主な補助金の「補助率・上限額」が制度別の一覧でわかる
- 「FIT売電と補助金は原則併用できない=自家消費/自営線供給が前提」という最重要ルールがわかる
- 農地の「一時転用許可」と補助金がどう噛み合うのか、申請の順番がわかる
- 環境省の全国制度に加えて、自治体独自補助まで含めた探し方がわかる
まずは、主な補助金の全体像から見ていきましょう。
1. いくら取れる?──主な補助金を制度別に
1-1. 全国で使える”本命”は環境省の2制度
ソーラーシェアリングの設備費に効く全国制度は、実務上ほぼ環境省の2つに集約されます。ひとつは営農地・水面での導入に特化した「地域共生型」の枠、もうひとつは自家消費型の太陽光・蓄電池を広く支える「ストレージパリティ」です。まず全体像を表で押さえましょう。
| 制度(実施主体) | 補助率・上限額(1事業者あたりの目安) |
|---|---|
| 地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業/営農地・水面等事業(環境省) | 補助率1/2、上限1.5億円。営農型・水面型に特化。蓄電池や自営線・受変電設備も対象 |
| ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(環境省) | 自家消費型太陽光と蓄電池が対象。上限は合計6,000万円が目安。蓄電池の同時導入と、敷地内での自家消費が必須 |
| 農林水産省(営農型太陽光) | 直接の設備補助が中心ではなく、農地の「一時転用許可」が実務の中心(後述) |
| 自治体独自補助 | 都道府県・市町村が上乗せ補助を持つ場合あり。有無・条件は自治体ごと |
※補助率・上限額は年度および公募回によって変わります。金額はいずれも1事業者あたりの目安で、実際の交付額は対象経費の査定によって決まります。
では、この2つの環境省制度を、もう少し具体的に。
1-2. 地域共生型(営農地・水面等事業)──上限1.5億円の主役
営農型(農地の上)と水面型(ため池などの上)に特化した枠で、補助率は補助対象経費の1/2、上限は1事業者あたり1.5億円が目安です(現行公募は単年度事業。令和8年度は一次4/24〜5/18・二次6/22〜7/17で公募実施済み)。太陽光パネル本体だけでなく、定置用蓄電池(目標価格以下のもの)、自営線(電力会社の送電網を使わず自前で引く電線)、EMS(エネルギーの見える化・制御装置)、受変電設備なども補助対象に含まれます。
大事なのは「誰に電気を送る事業か」という設計です。この枠は、発電した電気を自営線で自ら使う、あるいは農林水産関連施設や自治体施設へ供給する——といった「地域で使い切る」タイプを想定しています。単純にFITで全量を電力会社に売る事業は、次章のとおり対象になりません。
地域共生型は営農型のいちばんの主役。ただし公募期間が短い(数週間で締切)ことが多く、要領は執行団体のサイトで最新版を必ず確認してください。
1-3. ストレージパリティ──自家消費+蓄電池を厚く支える
もうひとつが「ストレージパリティ」。名前の由来は、蓄電池を入れたほうが(=ストレージ)系統から買う電気と同等かお得になる状態を、補助で後押しするというものです。自家消費型の太陽光と蓄電池が主役で、補助は「率」ではなく「単価(定額)」で設計されているのが特徴です。
| 対象 | 補助単価・上限の目安 |
|---|---|
| 自家消費型 太陽光(自己所有) | 4万円/kW |
| 自家消費型 太陽光(オンサイトPPA・リース) | 5万円/kW |
| 産業用 蓄電池 | 3.9万円/kWh |
| 家庭用 蓄電池 | 3.8万円/kWh |
| 上限額 | 太陽光2,000万円+蓄電池等4,000万円=合計6,000万円が目安 |
※令和8年度は、令和7年度補正予算を財源とする一次公募(4月9日〜5月15日正午)と、令和8年度当初予算を財源とする二次公募(7月9日〜7月31日正午)が実施され、いずれも受付を終了しています(2026年7月末時点)。二次公募からは、IP通信機能を持つ機器にJC-STAR(★1以上)の適合ラベルが求められるようになりました。単価・上限額は予算の枠ごとに変わります。国版は「年度」ではなく「予算の枠」ごとに公募が立つため、回数も時期も年によって異なります。申請前に必ず最新の公募要領でご確認ください。
要件は次の5つです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① | 売電をしないこと:FIT/FIPの認定有無にかかわらず、売電を行わないこと |
| ② | 太陽光と蓄電池をセットで導入すること:定置用蓄電池または車載型蓄電池の同時導入が必須。産業用蓄電池は20kWh以上 |
| ③ | 発電量の50%以上を敷地内で自家消費すること:太陽光は10kW以上。導入場所の敷地内(オンサイト)で自家消費すること |
| ④ | 費用効率性の基準を満たすこと:費用効率性が40,000円/t-CO₂以下であること |
| ⑤ | 停電時に電力を供給できること:自立運転機能付きのパワコンなど、停電時にも必要な電力を供給できる機能を備えること |
つまり、農業施設(選果場、冷蔵庫、加工場など)が同じ敷地にあって、そこで電気をしっかり使う設計と相性が良い制度です。逆に、離れた市街地の事業所へ送る絵はこの制度では想定されていません。
※産業用蓄電池は、定格出力など公募要領で定める技術要件も満たす必要があります。機器選定の際は必ず最新の公募要領でご確認ください。
ここまでで「補助率・上限」は見えました。ただ、どの制度にも共通する”落とし穴”があります。次で見ていきます。
2. 最重要:FIT売電と補助金は原則”併用不可”
2-1. だから「自家消費・自営線供給」が前提になる
ここが最終回でいちばん伝えたい注意点です。上で挙げた環境省の2制度は、いずれも「FIT/FIP(固定価格・プレミアムで電力会社に売る制度)で売電しないこと」を申請要件にしています。地域共生型では「FIT/FIP制度の認定を取得しないこと」、ストレージパリティでは「売電を行わないこと」が明記されています。
言い換えると、補助金を取るなら、電気は「売る」のではなく「使う」設計にする、ということ。自家消費(自分の施設で使う)、PPA(第三者が設備を持ち需要家が電気を買う方式)、自営線での供給——このどれかが前提になります。
| 電気の出口 | FITとの関係 | 補助金(環境省2制度)との相性 |
|---|---|---|
| FITで全量売電 | FIT収入あり | 原則対象外(併用不可) |
| 自家消費(施設で使う) | FITなし | 対象になりやすい |
| 自営線で地域施設へ供給 | FITなし | 地域共生型が想定する形 |
| オンサイトPPA・リース | FITなし | ストレージパリティは単価が上がる(4万円/kW→5万円/kW) |
※地域共生型では、電気の供給先が「同一敷地内または自営線でつなぐ施設」「農業者等が所有・管理する農林漁業関連施設」「自治体の施設」「地域防災計画上の避難施設」のいずれかであることが要件です(後三者は同一都道府県内。余った電力をそれ以外へ売ることはできません)。
2-2. 「補助金 vs FITの売電収入」で採算を比べる
では、補助金とFIT、どちらが得なのか。これは一律に決まりません。20年の売電収入が大きい計画ならFITを選ぶ判断もありますし、施設の電気代が高く自家消費メリットが大きいなら補助金+自家消費が有利になります。
資源エネルギー庁の価格表では、事業用太陽光の地上設置区分について、2027年度以降はFIT・FIP制度の新規認定の対象としないことが明記されています。営農型も地上設置に含まれるため、売電で回す設計にするなら2026年度中に事業計画認定まで到達させる必要があります。これから計画を立てる案件では、「補助金+自家消費」が事実上の本線です。第1回の3章とあわせてご確認ください。
判断材料は、①自家消費で減らせる電気代、②補助金で圧縮できる初期費用、③FITなら得られる売電収入の3つです。第1回で触れた「営農を続けながら」という前提を崩さない範囲で、電気の出口から逆算して制度を選ぶのが、アカネサスの考える組み方です。
数字を並べておきます。同じ50kW・総額1,000万円の設備を、売電で回した場合と補助金+自家消費で回した場合の比較です。
| 50kW・総額1,000万円で組んだ場合 | ①FIT売電で回す | ②補助金+自家消費で回す |
|---|---|---|
| 初期費用 | 1,000万円 | 補助率1/2なら実質500万円 |
| 年間の収入・削減額 | 年間発電量約5万kWh×9.9円/kWh=約50万円 | 買っている電気が25円/kWhなら約125万円 |
| 回収の目安 | 約20年(=調達期間いっぱい) | 約4年 |
※日射条件・自家消費率・工事費で大きく変わる単純試算であり、実際の金額を保証するものではありません。個別の収支は必ずシミュレーションでご確認ください。
同じ1kWhでも、売って得られるのは9.9円、買わずに済ませれば25円。売電単価がここまで下がった今、「使って減らす」ほうが2倍以上効きます。これが、補助金+自家消費が本線になりつつある理由です。
「補助金を使う=FIT売電は基本あきらめる」。まず電気の出口(自家消費か売電か)を決め、それに合う制度を選ぶ。ここを混同すると申請要件を満たせません。
制度とお金の話が固まったら、いよいよ農地側の手続きです。
3. 申請の要:農地の「一時転用許可」と補助金の関係
3-1. 農水省は”直接補助”より”一時転用許可”が中心
ソーラーシェアリングは農地の上に支柱を立てて発電します。農地に設備を置く以上、農地法上の手続き——「一時転用許可」(農地を一定期間だけ別用途に使う許可)が必要です。農林水産省側は設備への直接補助が中心ではなく、この転用許可のルールを整えることが実務の中心になっています(設備費の補助は前章の環境省制度が担う、という役割分担です)。
支柱部分だけを一時転用の対象とし、パネルの下では営農を継続する——これが営農型の基本形。逆に言えば「営農がちゃんと続くこと」が許可の生命線です。
3-2. 許可期間は原則3年、担い手・荒廃農地活用なら10年
一時転用許可の期間には目安があります。
| ケース | 一時転用許可の期間(目安) |
|---|---|
| 原則 | 3年以内(更新可) |
| ①担い手が下部の農地で営農する場合 ②遊休農地(荒廃農地)を活用する場合 ③第2種農地または第3種農地を活用する場合 | 10年以内 |
※許可期間・要件は農林水産省のガイドライン改正で変わります。申請前に必ず最新の要綱と、地元の農業委員会の運用をあわせてご確認ください。
原則は3年で、営農に問題がなければ再許可される仕組みです。加えて、担い手(地域の農業を中心的に担う認定農業者など)が営農する場合や、荒廃農地(耕作されず荒れた農地)を活用する場合、第2種農地・第3種農地を活用する場合などは10年以内に延長されます。長い期間が取れれば、金融機関の融資も組みやすくなります。
なお、許可の前提として「パネル下の営農がきちんと成り立つこと」が問われ、収穫量が地域の平均的な単収(面積あたりの収穫量)と比べて大きく落ちないこと等が求められます。具体的な基準値や運用は、令和6年に見直されたガイドラインで整理されているため、数値の詳細は最新のガイドライン・要綱で要確認としてください。
環境省の営農地事業では、蓄電池を導入する計画か、RE100・再エネ100宣言RE Action・SBT・TCFDなどの脱炭素の取組があるか、農地転用で10年の許可が見込める提案か(認定農業者、遊休農地の活用、第2種・第3種農地での実施)が加点項目とされています。さらに、農地の一時転用許可を取得済みの事業は優先採択の対象です。許可を先に固めておくことが、融資だけでなく採択にも効いてきます。
3-3. 申請の順番──「許可の見通し」と「公募」を並走させる
手続きは大きく2系統です。ひとつは農業委員会・都道府県への一時転用許可、もうひとつは補助金の公募申請。悩みどころは「どちらが先か」ですが、実務では並走させます。
| 段階 | やること |
|---|---|
| ① 計画づくり | 作物・営農体制・電気の出口(自家消費/自営線)を固める |
| ② 農地側 | 農業委員会へ相談し、一時転用許可の見通しを立てる |
| ③ 補助金側 | 環境省制度の公募要領を確認し、要件・スケジュールを合わせる |
| ④ 申請・採択 | 公募へ申請。転用許可と設備計画の整合を取って進める |
※環境省の営農地事業では、交付申請までに農地の一時転用許可を取得しておく必要があります。また、交付決定日より前に契約・発注した経費は補助対象になりません。
補助金は公募期間が短く、締切が固定です。一方で転用許可は地域の理解や営農体制の確保に時間がかかります。だから「許可が下りてから補助金を探す」では間に合いにくい。早い段階で両方を並行で温めておくのが現実的です。
補助金の締切は待ってくれない。一時転用許可の”見通し”づくりと、公募要領のチェックは同時に走らせる。産地・食品メーカーと組むなら、電気の出口(供給先施設)まで最初に描いておくと申請がぶれません。
3-4. 自治体独自補助も忘れずに
全国制度に加えて、都道府県・市町村が独自の上乗せ補助を持っている場合があります。金額・条件・募集時期は自治体ごとにばらばらで、年度で終了・新設もあります。お住まいの自治体の産業・環境・農政の各窓口や、公式の補助金一覧で「営農型太陽光」「自家消費型太陽光」を確認してみてください。ここも最新情報で要確認です。


※電気を「売る」か「使う」かで、使える制度が分かれます。ここを最初に決めておくと、制度選びも申請書づくりもぶれません。
まとめ
全2回の講座も、ここでひと区切りです。最後に、補助金と申請まわりの要点を4つに絞って振り返ります。
- 全国の本命は環境省の2制度。地域共生型(営農地・水面等)は補助率1/2・上限1.5億円、ストレージパリティは自家消費太陽光+蓄電池で上限6,000万円が目安(いずれも最新の公募要領で要確認)
- 最重要ルールは「FIT/FIP売電と補助金は原則併用不可」。補助金を使うなら自家消費・PPA・自営線供給が前提
- 農水省側は直接補助より「一時転用許可」が中心。期間は原則3年、担い手・荒廃農地活用なら10年以内
- 許可の見通しづくりと公募申請は並走させる。自治体独自補助の有無も必ずチェック
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全2回の講座はこれで完結です。第1回「営農型太陽光(ソーラーシェアリング)とは」で仕組みと始め方を、この第2回で補助金と申請を押さえました。次は、あなたの産地・作物・電気の出口に合わせて、どの制度をどう組むか——具体的な設計に進む番です。制度は年度で動きます。最新の公募要領を確認しながら、産地と食品メーカーが一緒に使える形を描いていきましょう。
【第1回】:営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは?費用・補助金・始め方【2026】
【第2回】:ソーラーシェアリングの補助金|上限1.5億円と申請・一時転用許可【2026】 ◀今ここ








