【大型成長投資補助金 完全攻略シリーズ 第7回(最終回)】 大型成長投資補助金と農水省補助金 どう使い分けるか|目的・規模別の選択基準

大型成長投資補助金と農水省補助金 どう使い分けるかのアイキャッチ

うちは賃上げ4〜5%は正直きつい…それでも補助金は使えるの? 

農水省の補助金と経産省の補助金、両方申請することってできるのかな? 

全7回シリーズの最終回です。食品メーカーが活用できる補助金は、経済産業省(経産省)と農林水産省(農水省)の2つの省庁からそれぞれ出ています。今回はこの2つの補助金体系を比較しながら、「自社にはどちらが合うのか」を判断するための基準を整理します。 

「経産省と農水省、どちらに申請すればいいのか迷っている」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。 

📋 この記事でわかること 
  • 経産省系・農水省系、2つの補助金体系の違い 
  • 補助上限・補助率・賃上げ要件などの詳細比較 
  • 自社に合った補助金の選び方(経産省向き・農水省向きの判断基準) 
  • 補助金の賢い使い分け・併用戦略 
  • 3つの質問で判断できる補助金選びのフローチャート 
  • シリーズ全7回の要点総まとめ 

まずは、2つの省庁の補助金がそれぞれどんな目的で設計されているか、基本的な考え方から確認しましょう。 

目次

食品メーカーが使える2つの補助金体系 

食品製造業は、経産省と農水省の両方の補助金を使える珍しい業種です。ただし、それぞれ「何のための補助金か」という目的が大きく異なります。 

2つの省庁の補助金の目的・対象・代表的な制度を以下に整理しました。 

🏭 経済産業省の補助金 🌾 農林水産省の補助金 
【政策目的】
産業競争力強化、賃上げ、DX(デジタル技術を活用した業務改革)推進 
 【政策目的】
食料安全保障(国内で必要な食料を安定して確保できる状態)、国産原料活用、輸出促進 
【主な対象】 製造業全般(食品含む) 【主な対象】 食品製造業、農業者、流通業 
【重視する指標】 売上成長、賃上げ率、DX・自動化 【重視する指標】 国産原料使用、輸出額、HACCP対応 
【代表的な補助金】 
大規模成長投資補助金 
成長加速化補助金 
【代表的な補助金】 
食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業 
食品原材料調達安定化対策事業 

2つの違いがわかったところで、次は補助上限・補助率・採択率など具体的な数字で比べてみましょう。 

経産省 vs 農水省:補助金の詳細比較 

補助金を選ぶ際に確認すべき主要項目を、以下の表で比べてみましょう。 

比較項目 経産省系補助金 農水省系補助金 
補助上限額 5億円〜50億円 数千万円〜15億円程度 
補助率 1/3〜1/2 1/2〜2/3(高め) 
賃上げ要件 必須(4〜5%/年) なし or 緩やか 
売上規模要件 10億円以上が目安 規模要件なし(小規模も可) 
建物費 対象(新築OK) 対象(新築OK) 
採択率 10〜50%(公募回による) 20〜40%(比較的高め) 
審査の特徴 経営者プレゼン審査あり 書類審査中心 
重視されるポイント 成長性、DX、賃上げ計画 国産原料、HACCP、輸出 

比較表の内容をふまえて、次は「では自社はどちらを選べばいいのか」を具体的に考えていきましょう。 

自社に合った補助金の選び方 

どちらの補助金が向いているかの判断基準は、「投資の目的」と「今の自社の状況」です。それぞれのチェックリストを確認してみてください。 

🏭 経産省系補助金が向いている企業 
  • 売上10億円以上で、さらなる成長を目指している 
  • 10億円以上の大型設備投資を計画している 
  • 年4〜5%の賃上げが可能な財務体質がある 
  • DX(デジタル技術を活用した業務改革)・自動化による生産革新を計画している 
  • 経営者自身がプレゼン審査に対応できる 
  • 大手小売・外食チェーンへの供給拡大を狙っている 
🌾 農水省系補助金が向いている企業 
  • 国産農畜水産物を主原料として使用している 
  • 輸出向け製品の製造を計画している 
  • HACCP(食品の安全を管理するための国際基準)認証の取得・高度化が主目的 
  • 投資額が数億円規模(10億円未満) 
  • 年4〜5%の賃上げは難しいが、設備投資は必要 
  • 地元農家・漁業者との連携を強化したい

「どちらも当てはまる」「段階的に両方使いたい」という場合は、次の使い分け戦略が参考になります。 

補助金の併用・使い分け戦略 

「同じ設備に2つの補助金を重ねることはできない」というルールがある一方、時期や投資内容を分ければ両方を活用することもできます。3つの戦略を以下にまとめました。 

💡 賢い補助金活用の3つの戦略 

【戦略①】段階的な活用 

まず農水省系でHACCP対応設備を整備(採択率高め・賃上げ要件緩い)→ 数年後、事業拡大フェーズで経産省系に挑戦(大型投資・成長加速) 

【戦略②】投資内容で使い分け 

HACCP対応・衛生設備 → 農水省系 / 生産ライン自動化・DX → 経産省系 

【戦略③】同一事業での併用は原則NG 

同じ設備に複数の国庫補助金を充てることはできません。ただし、別の設備・別の事業であれば、複数の補助金を活用することは可能です。 

戦略の方向性が見えたところで、「うちはどれが合うか」を3つの質問で判断してみましょう。 

補助金選びの判断フローチャート 

次の3つの質問にYES/NOで答えるだけで、どちらの補助金が自社に合うかがわかります! 

📊 3つの質問で判断する 

Q1. 投資額は10億円以上ですか? 

YES → 経産省系が有力候補(大規模成長投資補助金は投資額10億円以上が条件) 

NO  → 農水省系も検討対象、または成長加速化補助金(1億円以上) 

Q2. 年4〜5%の賃上げを3年間継続できますか? 

YES → 経産省系に挑戦可能(賃上げ要件を満たせる) 

NO  → 農水省系を優先検討(賃上げ要件なし or 緩やか)

Q3. 主な投資目的は何ですか? 

生産能力拡大・DX・自動化 → 経産省系 

HACCP対応・輸出強化・国産原料活用 → 農水省系 

最後に、全7回シリーズを通じて押さえておきたいポイントをまとめて振り返りましょう。 

シリーズ全体のまとめ 

第1回から第7回まで、経産省の補助金を中心に解説してきました。各回の要点を以下にまとめます。 

📚 全7回のポイント総整理 

第1回:制度の全体像 経産省補助金は「成長投資×賃上げ」がセット 

第2回:成長加速化補助金 売上10〜100億円、100億宣言、補助上限5億円 

第3回:大規模成長投資補助金 投資額10億円以上、補助上限50億円 

第4回:採択企業の実像 製造業76%、採択率は公募回による、みなし大企業は対象外 

第5回:賃上げ要件 年4〜5%の賃上げは「義務」、未達成なら返還 

第6回:事業計画書の書き方 審査5軸、DX・自動化、プレゼン審査対策 

第7回:補助金の選び方 経産省vs農水省、自社に最適な補助金を選ぶ 

補助金は、うまく活用すれば設備投資のハードルを大きく下げ、会社の成長を加速させる強力なツールです。このシリーズが、貴社の補助金活用のお役に立てれば嬉しいです。 

また、補助金のことで気になることがあれば、この記事の末尾にあるリンクから無料でご相談いただけますのでお気軽にご予約ください。 

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

・成長加速化補助金・大規模成長投資補助金の対象か診断します 

・賃上げ要件・投資規模の適合性をチェック 

・農水省系との使い分けも整理します 

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