食品工場の設備投資・自動化【第2回】食品工場の人手不足を補助金で解決|自動化・ロボット導入で使える3制度を徹底比較【2026年版】 

食品工場の人手不足を補助金で解決のアイキャッチ

求人を出しても応募が来ない

残業がなかなか減らない

ベテランが辞めたら現場が回らない

——食品工場では今、こうした声が毎日のように聞かれます。そこで、今回は、人手不足解決の観点から、活用できる補助金制度を解説します。 

📖 この記事でわかること
  • 食品工場の人手不足対策に使える「3つの補助金制度」の違い 
  • 省力化補助金/ものづくり補助金/デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の使い分け 
  • 【工程別】包装・検査・搬送などにおいてどの制度が合うのか 
  • 【簡易診断】自社に最適な補助金を5問で判定 

    ものづくり補助金(令和8年度より『新事業進出・ものづくり補助金』に統合予定) 

富士電機株式会社の調査(※)では、食品メーカーの75%以上が「人手が足りない」と答えています。有効求人倍率(求職者1人あたりの求人数)も3.15倍(2023年9月時点/農林水産省)と、全産業の平均、1.31倍(2023年/厚生労働省「一般職業紹介状況」)を大きく上回っていて、食品工場が特に人材を獲得しにくい業種であることがわかります。 

この人手不足を解決する有力な方法が、補助金を使った「自動化・ロボット導入」です。 

この記事では、食品工場の人手不足対策に使える3つの補助金と、工程ごとの選び方をご案内します。 

🎯 人手不足対策に使える3つの補助金 
  • 省力化補助金:自動化・ロボットの「ど真ん中」(カタログ型 最大1,500万円/一般型 最大1億円) 
  • ものづくり補助金:新ライン+ロボット・自動化(最大2,500万円) 
  • デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金):記録・管理の省力化(最大450万円) 
目次

1. 食品工場の人手不足、現状と課題 

まずは、食品工場の人手不足が実際どれくらい深刻なのか、データで見ていきましょう。食品工場は、製造業の中でも特に人手が足りていない業種だと言われています。 

📊 食品工場の人手不足データ 

人手不足と回答した食品工場:75%以上 

有効求人倍率:3.15倍(全産業平均1.31倍の2.4倍) 

人員欠員率:3.2%(全製造業平均1.8%の約1.8倍) 

人手不足の理由:「退職による欠員」47.9%、「離職率が高い」40.4% 

人手不足が業務に与える影響 

人手不足をそのままにしておくと、現場は次のような悪循環に陥ってしまいます。 

  • 従業員の時間外労働の増加・休暇取得の減少(58.7%) 
  • 職場の雰囲気の悪化(45.2%) 
  • 技術・ノウハウの伝承が困難(39.4%) 
  • さらなる離職 → 人手不足の悪化という負のスパイラル 

解決策:自動化・ロボット導入 

この悪循環を根本から断ち切るには、「人手に頼りきらない生産体制」をつくることが欠かせません。実際、富士電機の調査でも、「取り組んで効果があった」対策の1位は「ロボットや自動機を使った自動化・省力化」(12.1%でした。 

そして、こうした自動化への投資を後押ししてくれる補助金が、大きく分けて3つあります。 

それでは、その3つがそれぞれどんな制度で、何が違うのか。まずは全体像を表で見比べてみましょう。 

2. 人手不足対策に使える3つの補助金制度 

3つの制度の狙い・補助の上限額・補助率・食品工場での使いどころを、下の表にまとめました。 

項目 省力化補助金 ものづくり補助金 デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) 
狙い IoT・ロボット等で人手不足解消 新製品・新ラインで付加価値向上 システム導入で業務効率化 
補助上限 最大1,500万円(カタログ型)/
最大1億円(一般型) 
750万〜2,500万円
(従業員規模で変動) 
最大450万円 
補助率 1/2〜2/3 中小1/2、小規模2/3 1/2〜4/5 
食品工場での典型例 包装機、パレタイザー、協働ロボット、AGV(無人搬送車) 冷凍ライン新設、輸出向け設備、DX+自動化 HACCP記録、生産管理、在庫管理システム 
審査の軸 「何人分・何時間の省力化か」 「新しさ」「付加価値増」 「業務効率化効果」 

ここからは、3つの補助金を1つずつ詳しく見ていきます。最初は、人手不足対策の軸になる制度からです。 

3.【制度①】中小企業省力化投資補助金

人手不足対策の「本命」補助金 

中小企業省力化投資補助金(以下、省力化補助金)は、その名のとおり「人手不足の解消」と「生産性の向上」を目的にした補助金です。インターネットにつながった機器(IoT)やロボットを導入して、検品・包装・箱詰め・製品をパレットに積み上げる作業(パレタイジング)など、「今まさに人手が足りていない決まった作業」を自動化するのにぴったりの制度です。 

カタログ型 or 一般型 

省力化補助金には「カタログ型」と「一般型」の2つのタイプがあります。違いを下の表で整理しました。 

カタログ型一般型(オーダーメイド) 
【対象】カタログ掲載の既製品 【対象】個別設計のライン構築も可
【上限】200万〜1,500万円【上限】最大1億円 
【食品工場の例】清掃ロボット、AGV、包装機、餃子成形機など 【食品工場の例】協働ロボット+コンベア+検査装置の自動化ライン 

省力化補助金が向く工程 

次のような工程は、省力化補助金と相性がいいです。 

  • 包装・ラベル貼り・箱詰め・目視検査(5人→2人など) 
  • パレタイジング・出荷準備(重量物の搬送自動化) 
  • AGV・搬送ロボットによる庫内搬送 
  • 清掃ロボットによる衛生管理業務の省力化 

次は、人手を減らすだけでなく「新しい商品づくり」もあわせてねらいたい場合に向く制度を見ていきましょう。 

4.【制度②】ものづくり補助金 

「新商品・新ライン+省人化」を同時に狙う 

ものづくり補助金で重視されるのは、その設備投資にどれだけ「新しさ」があるかです。新商品の開発や、新しい売り先の開拓につながるロボット投資ほど、高く評価されやすくなります。なお、ここでいう「もうけ」とは、売上から原価を引いた利益(粗利)のことです。 

ものづくり補助金が向くケース 

たとえば、次のようなケースがものづくり補助金に向いています。 

  • 新しい冷凍惣菜ラインで、協働ロボットによる盛付・充填、自動包装、X線検査まで一体化 
  • 急速冷凍+ロボット搬送を組み合わせた新ラインで、冷凍食品EC・輸出に参入 
  • 高付加価値スイーツ向け新ライン+自動充填・包装 
  • 輸出向けHACCP対応ライン+IoTによる温度管理・トレーサビリティ 

💡 「省力化補助金 orものづくり補助金?」は何を狙うかで決まります

✓ 「既存ラインの人手を減らしたい」 → 省力化補助金 

✓ 「新商品・新市場で売上を伸ばしながら省人化も」 → ものづくり補助金 

3つ目は、現場の機械ではなく、事務や記録まわりの負担を軽くするための制度です。 

5.【制度デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) 

「間接部門の人手不足」を埋める 

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になるのは、受発注・在庫・生産管理・食品衛生管理の国際的なしくみ(HACCP)の記録などを支えるシステムです。現場の人手そのものを増やすわけではありませんが、記録や調整にかかっていた時間が減ることで、結果的に現場にも余裕が生まれます。あわせて、HACCP対応や輸出対応の土台づくりにも役立ちます。 

デジタル化・AI導入補助金が向くケース 

たとえば、次のような取り組みがIT導入補助金の対象になります。 

  • 紙の温度記録・点検表をタブレット+クラウドに切り替え、記録・転記・保管の手間を削減 
  • 受注〜生産指示〜在庫〜出荷を一元管理して、計画作成・残業調整の負担を軽減 
  • HACCP記録のデジタル化で、監査対応・書類作成の工数削減 
  • 原価管理システム導入で、製品別・工程別の採算把握を自動化 

3つの制度の概要をお伝えできたところで、次は「自社のどの作業にどれが向くのか」を工程ごとに整理していきましょう。 

6.【工程別】どの補助金が向く? 判断基準のヒント 

工程と補助金の対応は、下の表のとおりです。いちばん右の「本命度」(★の数)もあわせて参考にしてください。 

工程 自動化の例 向く補助金 本命度 
包装・検査・表示 自動包装機、X線検査、ラベラー 省力化補助金 ★★★ 
出荷・パレタイジング パレタイザー、AGV、自動倉庫 省力化補助金 ★★★ 
充填・成形 自動充填機、成形機、トレー供給 省力化補助金  or ものづくり補助金 ★★ 
冷凍・レトルト新ライン 急速冷凍機、レトルト釜+自動化 ものづくり補助金 ★★★ 
記録・管理(横断) HACCP記録、生産管理、在庫管理 デジタル化・AI導入補助金 ★★★ 

工程ごとの目安がつかめたら、最後にいくつかの質問に答えて、自社に合う制度をしぼり込んでみましょう。 

7.【簡易診断】自社に最適な補助金を5問で判定 

質問ごとに、いちばん合っていると思える選択肢に☑を入れ、その選択肢の矢印先にある補助金名を〇で囲んでください。5つの質問すべてを見終わったところで、いちばん多く〇がついたものが、貴社に適した(候補になる)補助金制度と判定できます。 

食品工場の設備投資・自動化|【簡易診断】自社に最適な補助金チェックリスト(図解)

ここまでの内容を、最後にもう一度かんたんに振り返っておきましょう。 

まとめ 

✅ 3つの補助金の使い分け 
  • 省力化補助金:「今まさに人手が足りない定型作業」の自動化(本命) 
  • ものづくり補助金:「新商品・新ライン+省人化」を同時に狙う投資 
  • デジタル化・AI導入補助金:「記録・管理業務」の省力化でHACCP対応の土台も 「どの工程を自動化するか」「何人・何時間の削減を狙うか」「新商品・新販路の有無」で最適な制度が決まります。 

※ 本記事中の「人手不足」に関するデータは富士電機株式会社の「食品工場の人手不足に関する意識調査」(2023年)および「食品製造業における人手不足の実態調査」(2021年)から引用しています。 

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このシリーズは全5回構成です。第1回〜第3回・第5回の記事も、食品工場のコスト削減・自動化・補助金活用について具体的にまとめていますので、ぜひあわせて参考にしてください。 

📚 食品工場の設備投資・自動化シリーズ|記事一覧 

第1回:食品工場のコスト削減ガイド|電気代・人件費を省エネ補助金(最大3億円)で解決【2026年】

▶ 第2回:食品工場の人手不足を補助金で解決|自動化・ロボット導入で使える3制度を徹底比較【2026年版】 ◀今ここ 

第3回:食品工場の自動化事例10選|省力化補助金で包装・検査・搬送を半額導入【2026年版】 

第4回:食品工場のDX・IoT化で使える補助金|生産管理・HACCP・温度監視を半額導入【2026年版】 

第5回:【無料ツール】食品工場コストダウンチェックシート|69項目で削減ポイントと補助金を診断 

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

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