食品工場の設備投資・自動化【第5回】食品工場コストダウンチェックシート|69項目で削減ポイントと補助金を診断【2026年】 

食品工場コストダウンチェックシートのアイキャッチ

コスト削減に取り組みたいけど、何から手をつけていいかわからない……

うちの工場に使える補助金がどれなのか、判断できない……

こうした悩みは、食品工場の経営者や工場長の方なら、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、自社工場の状態を1項目ずつチェックしていくだけで、コスト削減を目的に使えそうな補助金、また手をつけるべき優先順位がひと目でわかるツールです。 

「食品工場の設備投資・自動化」シリーズの最終回となる第5回では、現場ですぐに使える「食品工場コストダウンチェックシート」の内容と使い方をお伝えします。チェックの結果から、補助金の候補と、投資の優先順位を決めるところまでカバーします。 

📋 この記事でわかること 
  • チェックシートを活用|自社のコストダウンポイントをチェック 
    【電気代・設備のチェック】 
    【人件費・省力化チェック】 
    【原材料ロス・歩留まりチェック】 
  • チェックシートを活用|投資候補および補助金活用の適性をチェック 
  • チェックシートを活用|着手すべき優先順位を判定 
  • 活用シーン別ガイド|現場ヒアリング・補助金申請・年度計画 
  • FAQ|チェックシート利用でよくある質問 
目次

1. チェックシートでわかること|5シート・69項目で補助金活用の適性を判定 

「食品工場コストダウンチェックシート(Excelブック)」は、5枚のシート(電気代シート、人件費シート、原材料シート、補助金・投資候補シート、優先度シート)に分かれていて、全部で69項目あります。自社工場の状態を1項目ずつチェックしていくだけで、どこにコスト削減の余地があり、どの補助金が使えそうかが見えてくる構成になっています。 

進め方は、現状チェック → 投資候補の洗い出し → 優先度の判定、という3ステップです。各項目は10〜20秒程度で判定できるので、空き時間にも進められます。 

チェックシートで判定できる主な3つのポイントは、以下のとおりです。 

💡 チェックシートで判定できること 
  • 自社工場のコスト削減の余地|電気代、設備、人件費、省力化、原材料ロスのどこに改善余地があるか 
  • 活用できる補助金の候補|省エネ、省力化、脱フロン、ものづくり等のどれが適しているか 
  • 投資の優先度|どの案件から着手すべきか(A:1年以内/B:1〜2年以内/C:3年以内) 

まずはチェックシート本体を手元にご用意ください。 

チェックシートは以下からダウンロードしてください。記事を読み進めながらチェックシートの確認も進めると、使い方のイメージがつかみやすくなります。 

2. チェックシートの全体像|5つのシート構成と判定の流れ 

5枚のシートは、食品工場のコスト構造に合わせて構成しています。電気代、人件費、原材料の3シートで現状を〇△×評価(54項目)、補助金・投資候補シートで設備投資の候補を洗い出し(15項目)、優先度シートで着手順を決める、という流れです。 

まずチェックを進める3つのシートに、それぞれどんな内容が入っているかをまとめました。 

シート チェック対象 想定される補助金 
電気代シート(15項目) 冷凍機・空調・ボイラ・照明など、電力を多く使う設備の運用と更新 省エネ/脱フロン 
人件費シート(25項目) 盛付・充填・包装、検品・検査、下処理・カット、箱詰め・出荷・倉庫など、人手のかかる工程の自動化余地 省力化/食品産業/ものづくり 
原材料シート(14項目) 歩留まり・廃棄ロス・規格外品など、原材料に関わるロス (運用・管理改善中心)/省力化/IT導入 

「シートの使い方」の流れは、以下の3ステップです。 

📋 評価から判定までの基本フロー 
STEP
電気代シート、人件費シート、原材料シートで現状を〇△×評価する(54項目)

STEP
補助金・投資候補シートで補助金・投資の候補をチェックする(15項目)

STEP
優先度シートで課題(改善テーマ)を整理し、優先度(A/B/C)を判定する

それでは段階を追って、シートごとに見ていきます。 

3. 評価基準|〇△×判断の仕 

電気代、人件費、原材料の3シートでは、各項目を〇△×の3段階で判定します。3段階にしぼっているのは、現場感覚でテンポよく判定するためです。 

それぞれの記号の意味と判断基準を、以下に整理しました。 

評価 意味 判断基準 
 問題なし 対応済み、または現状で問題がない項目 
△ 要改善検討 改善の余地あり。中期的に検討すべき項目 
× 早急に改善 明らかな課題あり。早急に改善が必要な項目 

判定に迷う項目もあると思います。考え方のコツを以下にまとめました。 

💡 評価で迷ったときの判断のコツ
  • 「できている」と自信を持って言えない → △ 
  • 「やっていない」「把握していない」 → × 
  • 「完璧ではないが問題ない」 → 〇 

現場責任者の感覚で判断してください。時間をかけずにテンポよく判断し、あとで見直して、判定を変えてもOKです。

ここから、各シートを順に見ていきます。 

4. 【電気代シート】の見方(15項目) 

電気代シートでは、設備の使い方と更新状況を、5つのカテゴリ・15項目でチェックします。電気代は工場コストの5〜15%を占め、運用見直しで10〜20%、設備更新で30%前後の削減が見込める領域です。 

5つのカテゴリを以下に整理しました。 

チェック観点 見るべきポイント 補助金候補 
稼働時間・待機時間 高負荷設備の同時立ち上げ・待機時間の削減 (運用改善)/省エネ 
電源オン・オフ運用 夜間・休日の電源管理、生産外時間の主電源オフ 省エネ 
温度・設定値 冷凍・冷蔵庫の設定温度、空調の設定温度の最適化 省エネ 
清掃・点検・メンテナンス 熱交換器・フィルターの定期清掃、点検記録 省エネ 
設備更新・省エネ投資 冷凍機・空調・ボイラ・照明(LED化)・EMSの更新検討 省エネ/脱フロン 

続いて人件費シートです。 

5. 【人件費シート】の見方(25項目) 

人件費シートでは、人件費を工程ごとに見ていきます。食品工場では人件費がコスト全体の25〜35%を占め、削減効果の大きい領域です。25項目を6つの工程カテゴリに分け、それぞれに「省力化(自動化や機械化によって人手を減らすこと)の優先度」を示しました。優先度の高い工程から確認するのがおすすめです。 

6つの工程カテゴリと優先度、想定される(対応する)設備投資を、以下にまとめました。 

工程 省力化の優先度 想定される設備投資 
盛付・充填・包装  最優先 自動充填機・自動包装機・オートラベラー・画像検査装置 
検品・検査  優先度:高 画像検査・自動選別装置・金属検出器 
下処理・カット  優先度:高 自動スライサー・カッター・包丁レス化 
箱詰め・出荷・倉庫  優先度:中〜高 ケースパッカー・自動製函機・AGV・自動倉庫 
調理・加熱・冷却  優先度:中〜高 自動加熱装置・自動冷却装置・コンベア化 
清掃・衛生・帳票  優先度:中 CIP(自動洗浄)・電子チェックシート 
💡 省力化の判断ポイント 
  • 同じ作業を3人以上で行っている工程はないか 
  • パート・アルバイトの採用が常に追いついていない工程はないか 
  • 残業・休日出勤で対応している工程はないか 
  • ベテランの熟練技術に依存している工程はないか 

 以上に該当する工程は、省力化投資の候補として検討する価値があります。 

続いて原材料シートです。 

6. 【原材料シート】の見方(14項目) 

原材料シートでは、原材料費の見直しポイントを4つのカテゴリ・14項目でチェックします。原材料費は工場コストの30〜50%を占めることもある領域で、歩留まり(投入した原材料のうち、製品として出荷できる割合)を1%改善するだけで、年間数百万円以上のコスト削減につながることも少なくありません。 

4つのカテゴリの内容を、以下に整理しました。 

チェック観点 見るべきポイント 補助金候補 
ロスの見える化 ロス量(kg/月)・原因分類・金額換算の把握 (管理改善 
盛り付け・計量の精度 手作業の計量精度、盛り過ぎ・バラつきの低減 省力化/(運用改善 
冷凍・冷蔵ロス 冷凍焼け・解凍ミス・保管期間によるロス (管理改善 
受入・在庫管理 在庫管理システム、先入れ先出し、期限切れ廃棄の抑制 省力化/IT導入 

原材料ロスの改善は一気に大きな効果は出にくい領域ですが、見える化・計量精度・冷凍冷蔵管理など地道な積み重ねで、着実にコストを下げられます。 

ここまでで現状チェックが完了です。次は補助金・投資の候補を洗い出します。 

7. 補助金・投資候補シート】の見方(15項目) 

△または×がついた項目のうち、設備投資で解決できそうなものを、補助金・投資候補シートに書き出します。シート内の15項目と見比べて、該当する設備(投資候補となる設備)について、その概算費用や投資回収期間を記入していきます。各項目には、活用できる可能性のある補助金(略称)も示されています。 

チェックシート全体で使われている補助金の略称を、一覧にまとめました。補助率(投資額のうち、補助金でカバーされる割合)もあわせて確認しましょう。 

略称 正式名称 補助率 主な対象設備 
省エネ 省エネルギー投資促進支援事業費補助金 1/31/2 冷凍機・空調・照明・ボイラ等 
脱フロン 脱フロン・低炭素社会実現補助金 1/31/2 R22冷凍機→自然冷媒への更新 
省力化 中小企業省力化投資補助金 1/2 自動包装機・ロボット・AGV等 
ものづくり ものづくり・商業・サービス補助金(※令和8年度より『新事業進出・ものづくり補助金』に統合予定) 1/2 生産設備・検査装置等 
食品産業 農水省 食品産業省力化推進支援事業 1/2 食品製造業向け省力化設備 
新事業進出 新事業進出補助金 1/22/3 新工場・新ライン・新事業 
IT導入 デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) 1/22/3 業務管理システム・電子チェックシート等 
農水省系 HACCP・GFP関連補助金、食品流通拠点等 1/2 HACCP対応設備・衛生設備・冷凍冷蔵庫等 

各シートの「補助金候補」欄を見れば、自社で使えそうな補助金がわかります。複数並んでいる場合は、補助率の高いものや採択(補助金審査で投資計画が認められること)率の安定したものから検討するとよいでしょう。 

💡 (※)補助金候補が「−(運用改善)」「−(管理改善)」となっている項目について 

「−(運用改善)」「−(管理改善)」表示の項目は、設備投資なしで対応できるため、補助金の対象にはなりません。「運用改善」は稼働ルール、電源管理・設定値の見直しなど、「管理改善」は記録方法、帳票運用、在庫管理の見直しなど性質が異なりますが、いずれもすぐに着手できるので、補助金とは別の計画ですぐに改善し始める価値があります。 

投資候補と補助金候補が出揃ったら、最後のステップです。 

8. 【優先度シート】の使い方|A/B/C判定で着手順を決める 

補助金・投資候補シートで洗い出した項目を、優先度シートに転記して「どの案件から先に動くか」を判定します。優先度はA・B・Cの3段階で、「コスト削減効果」「実行のしやすさ」「補助金可能性」の3観点から総合的に判断します。 

優先度A・B・Cの判定基準を、以下に整理しました。 

優先度 目安期間 判断基準 
A 1年以内に着手 コスト効果=大 かつ 補助金可能性=高(投資回収2〜3年) 
B 12年以内に検討 コスト効果=中以上 または 補助金可能性=中以上 
C 3年以内に検討 効果・補助金ともに小〜低 

判定のコツは、3つの観点を「かけ算」で見ることです。「効果は大きいけど補助金が使えない」案件より、「効果は中くらいでも補助金がしっかり使える」案件のほうが優先度Aに近づきます。1つの軸だけで判断すると補助金を取りこぼすので注意してください。 

実際にどう判定するのか、2つの例を以下にあげます。参照してください。 

📋 例①:盛付工程の自動充填機導入 
コスト削減効果:大(年間2,400万円の人件費削減) 
実行の難易度:普通(導入実績あり・標準的な工事) 
補助金可能性:高(省力化補助金の対象) 
→ 優先度:A(1年以内に着手) 
📋 例②:帳票のタブレット化 
コスト削減効果:小(年間30万円程度) 
実行の難易度:易(クラウドサービスで即導入可)
補助金可能性:中(デジタル化・AI導入補助金で一部対象) 
→ 優先度:C(3年以内に検討) 

9. チェックシートの使い方|3ステップで完了 

実際の手順は、以下の3ステップです。最初は気軽に1巡してみて、流れがつかめてから再度、本格的に取り組んでみるのがおすすめです。 

STEP
現状チェック

電気代、人件費、原材料の3シートを順にチェックします。1項目あたり10〜20秒を目安に、現場感覚でテンポよく進めるのがコツです。Excelブックで構成されたシートなので、記載欄はドロップダウンで〇△×を選べ、シート下部で自動集計されます。 

STEP
投資候補の絞り込み

△または×がついた項目のうち、設備投資で解決できそうなものを補助金・投資候補シートに転記します。「設備名・内容」「概算費用」「投資回収期間」の記入欄があり、そのまま補助金申請の準備に使えます。「−(運用改善)」「−(管理改善)」の項目は投資不要なので、即着手リストとして別にまとめておきましょう。 

STEP
優先度の判定

補助金・投資候補シートの内容を、優先度シートに転記してA・B・Cを判定します。優先度シートには記入例があるので書き方の参考にしてください。優先度Aの案件から順に、補助金申請の準備や設備投資の検討を進めます。

 

10. 活用シーン別ガイド|現場ヒアリング・補助金申請・年度計画 

現場でよくある活用シーンを4つ紹介します。 

シーン①:月次の現場ヒアリング 

月に1回、工場長と現場責任者(ライン長)でチェックシートを見ながら現状を確認。前月からの変化や新しい課題を洗い出し、△や×の項目について改善アクションを話し合います。担当者と期限を決めることで、改善が継続的に進みます。 

シーン②:補助金申請の準備(申請3ヶ月前) 

補助金申請を考え始めたら、優先度Aの投資候補について、概算費用と投資回収期間を具体化します。判定結果は、申請時に提出する事業計画書の根拠資料としてそのまま使えます。 

シーン③:年度計画の策定(年1回) 

経営会議でチェックシートを共有し、年度の投資計画を決めます。優先度A・Bの案件について投資の可否を議論し、年度予算や補助金申請のスケジュールに落とし込みます。経営層と現場の認識を揃える場としても有効です。 

シーン④:省エネ診断の事前準備 

省エネ診断(経済産業省の制度で、専門家が工場を訪れて省エネ提案をしてくれるもの)を依頼する前に、電気代シートの結果を専門家と共有します。事前に情報を渡しておくと診断のポイントが絞られ、より効果の高い提案を引き出せます。 

最後に、よくいただく質問にお答えします。 

11. FAQ|チェックシート利用でよくある質問 

チェックシートは社内の誰が記入すべきですか? 

現場責任者(ライン長やエリア長)が記入し、工場長が確認するのが理想です。設備の更新や補助金に関する項目は、経営者やコンサルタントを交えて一緒に検討するのがおすすめです。 

すべての項目を一度にチェックする必要がありますか? 

いいえ、無理に一気に進める必要はありません。まずは電気代シートと人件費シートから始めるのがおすすめです。特に人件費シートは工程ごとに省力化の優先度を示しているので、人件費のコストダウンをはかるなら、最優先の「盛付・充填・包装工程」をまずはチェックすることをおすすめします。

チェックシートの結果は補助金申請の根拠資料として使えますか? 

はい、活用できます。チェックシートの判定結果(投資候補と優先度)は、補助金申請のときに提出する事業計画書の根拠資料としてそのまま使えます。「現状の課題→改善案→期待される効果」という流れで整理できているので、説得力のある事業計画書につながります。 

チェックシートをカスタマイズしてもいいですか? 

もちろんOKです。自社の工程やチェックしたい項目に合わせて、行を追加したり削除したり、自由に修正してください。製品の特性や工場の規模によって重要な項目は変わるので、むしろ自社版にアレンジして使うほうが実用的です。 

補助金候補が複数ある項目は、どれを選べばいいですか? 

補助率が高いものや、採択率が安定しているものから優先的に検討するのがおすすめです。なお、同じ設備に複数の補助金を組み合わせる「二重取り」はできないルールなので、設備ごとに最適な補助金を1つに絞ることになります。判断に迷うときは、補助金の専門家に相談するのが確実です。

このチェックシートの目的は「補助金活用の道筋の見える化」。 

要点を以下にまとめました。 

✓ チェックシートで補助金活用の道筋を見える化
  • 電気代・人件費・原材料の3枚(合計54項目)で現状を〇△×評価 
  • 補助金・投資候補シート(15項目)で設備投資の候補と補助金候補をチェック 
  • 優先度シートで「コスト効果」「実行しやすさ」「補助金可能性」の3観点から優先度A・B・Cを判定 
  • 月次ヒアリング、補助金申請、年度計画など、さまざまな場面で活用可能 
  • 補助金申請の事業計画書を作るときの根拠資料にもなる 

コスト削減と補助金活用は、「どこから手をつけるか」「どの順番で進めるか」で結果が大きく変わります。まずは自社の現状を客観的にとらえ、優先度の高い案件から動き始めてみてください。 

「食品工場の設備投資・自動化」シリーズは、今回の第5回で完結です。第1回〜第4回の記事と本チェックシートを組み合わせれば、コスト削減と補助金活用の全体像がつかめます。ぜひシリーズ全体を通して活用してください。 

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

📎 参考リンク 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次