設備別 補助金講座 第1回 【逆引き】農業・畜産・水産の設備別 補助金大全【2026】 トラクターから牛舎・漁船まで110設備を制度にマッピング 

農業・畜産・水産の設備別 補助金大全のアイキャッチ

トラクターの補助金を調べたら制度名が5つも出てきた。うちはどれ?

牛舎と搾乳ロボットとハウス、それぞれ別の補助金なの

補助金の世界は制度名から書かれた解説ばかりで、現場の頭の中——「この設備を買いたい」——から引ける情報がほとんどありません。この記事は、その逆引き表です。農業機械・施設園芸・貯蔵・畜産・水産・一次加工の主要設備を並べ、それぞれの”本命制度”と補助率を一覧にしました。 

この記事は、設備名から制度をたどれる「地図」としてお使いください。各設備の詳しい申請の進め方は、第2回以降の個別記事にゆずります。 

先にこの記事の使い方をひとつだけ。設備を探す前に、その投資が「建物・構築物」なのか「機械装置」なのかを意識してください。ここが補助金選びの最大の分かれ目です。 

  • 「この設備、どの補助金が使えるのか」を設備名から逆引きできる(農業機械・ハウス・貯蔵・畜産・水産・一次加工の約110設備) 
  • 補助金選びの分かれ目=「建物・構築物か、機械装置か」という資産区分の考え方 
  • 各設備の”本命制度”と補助率、そして詳しい解説記事への道筋 
  • 判定が分かれるグレーな設備(自動倉庫・ハウス・ボイラー等)の注意点 

それでは、その理由から見ていきましょう。 

目次

🧭 1. まず大原則:「建物」か「機械」かで使える制度が変わる 

建物は農水省系、機械は経産省系も使える 

補助金には、はっきりした傾向があります。経産省系(省力化投資補助金、2026年に「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合された新事業進出・ものづくり商業サービス補助金など)は、機械装置が主戦場です。新事業進出枠・グローバル枠では建物費も対象になりますが、上限は7,000万円(賃上げ特例で9,000万円)どまり。一方、農水省系(産地生産基盤パワーアップ事業・畜産クラスター事業・強い農業づくり総合支援交付金・浜の交付金・輸出向けHACCP等対応施設整備事業など)は、畜舎・倉庫・加工場・ハウスといった建物・施設そのものを補助率1/2で、しかも億単位の枠で支えます。「建物は経産省系でも使えなくはないが、桁が違う」——これが実務の感覚です。 

資産区分 使える制度の傾向 
建物・構築物(畜舎・倉庫・加工場・ハウス躯体) 農水省系が主戦場:産パ(産地生産基盤パワーアップ事業)整備(1/2)・強い農業づくり(1/2以内等・整備事業は最大20億円)・畜産クラスター施設整備(1/2)・浜の交付金(1/2)・輸出向けならHACCPハード(1/2)。経産省系も新事業進出枠なら建物費が対象だが上限7,000万円 
機械装置(農機・選別機・ロボット・加工機械) 農水省系の機械リース(1/2)・産地連携支援緊急対策(1/2)に加え、経産省系(省力化投資補助金・新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)も使える 
車両運搬具(フォークリフト・軽トラ)・船舶(漁船) 対象外になりやすい/漁船は専用制度(漁船リース) 

建物は「何の建物か」で本命が分かれる 

建物と分かったら、次は用途で本命を絞ります。同じ「建てる」でも入口が違います。 

建物の用途 本命制度(補助率) 
産地の共同利用施設
(選果場・集出荷貯蔵・乾燥調製・処理加工) 
強い農業づくり総合支援交付金(1/2以内等・原則総事業費5千万円以上・受益農業者5名以上) 
産地計画に位置づく生産・出荷施設 産パ整備事業(1/2・産地パワーアップ計画が前提) 
畜舎・堆肥舎など畜産施設 畜産クラスター事業(1/2・協議会経由) 
漁港・浜の共同利用施設 浜の交付金(1/2・浜プラン=浜の活力再生プランが前提) 
輸出向けの加工場・食肉処理場・水産加工場 HACCPハード(1/2・輸出事業計画の認定が前提)。ただし新設は「掛かり増し経費」のみが対象で、改修・機器整備が中心 

※いずれの制度も、産地計画・協議会・浜プラン・輸出事業計画といった「計画への位置づけ」が前提になります。設備の話に入る前に、自社がどの計画に乗れるかを確認しておくと手戻りがありません。 

※輸出向けHACCPハードは、輸出先国の規制(ISO・FSSC・JFS-C等の認証取得)への対応に必要な範囲が対象です。新築の場合は、通常の建築費との差額(掛かり増し経費)が補助対象になる点にご注意ください。当初予算の枠は小さく、実務では補正予算の回に厚みがあります。 

💡 見積書をもらったら、まず建物と機械に分解する 

同じ1億円の投資でも、建物に載るか機械に載るかで選択肢がまるで違います。見積書をもらったら、まず建物と機械に分解する——これが逆引きの第一歩。次に建物なら「誰が・何のために使う建物か」(共同利用か個別か、国内向けか輸出向けか)で本命を絞ります。なお資産区分は耐用年数省令ベースの一般的な目安で、最終判定は構造・用途・税理士判断によります。 

大原則がつかめたところで、ここからは分野ごとの逆引き表です。次は農業機械です。 

🚜 2. 農業機械(トラクター・コンバイン・ドローン等) 

本命は「構造転換支援」と「産パリース」の2ルート 

畑・水田で使う機械の本命は、地域農業構造転換支援事業(補助率3/10、機械リースは定額・取得額相当の3/7、上限個人1,500万円/法人3,000万円)と、産地パワーアップ事業の機械リース(本体価格の1/2以内・産地計画への位置づけが必要)の2ルートです。 

設備 資産区分 本命制度(→詳しくは) 
トラクター・コンバイン・田植機 機械装置 構造転換支援(3/10・リース3/7)/産パリース(1/2)→第4回で詳説 
農業用ドローン 機械装置 構造転換支援・産パ・自治体独自→第3回で詳説 
自動操舵システム・可変施肥 機械装置 産パリース・スマート農業関連→スマート農業記事へ 
穀物乾燥機・色彩選別機・精米機 機械装置 産パ・強い農業づくり→第6回(米施設)で詳説 
草刈機・管理機・防除機 機械装置 構造転換支援・自治体独自(小型は対象外もあり要確認) 

※構造転換支援の上限額(個人1,500万円/法人3,000万円)は事業全体に対する枠です。小型機械や汎用性の高い機械は対象外とされる場合があるため、機種ごとに公募要領の対象機械の範囲をご確認ください。 

同じ「機械」でも、ハウスの中に入るものは別の枠組みになります。次は施設園芸です。 

🌱 3. 施設園芸(ハウス・環境制御・ヒートポンプ等) 

ハウスは「躯体」と「中の設備」を分けて考える 

ハウスは「躯体(構築物)」と「中の設備(機械)」を分けて考えます。躯体は産パ整備事業や強い農業づくり、中の設備は産パ基金(機械1/2・資材1/2)が基本形です。 

設備 資産区分 本命制度 
ビニールハウス・低コスト耐候性ハウス 構築物▲ 産パ整備(1/2)・強い農業づくり(共同利用)・構造転換支援(3/10)→農業補助金まとめへ 
環境制御装置・CO2施用機・循環扇 機械装置 産パ基金(1/2)→水耕・植物工場記事へ 
養液栽培システム 機械装置 産パ基金(1/2)→水耕・植物工場記事へ 
ヒートポンプ・温風暖房機 機械装置 産パ基金「施設園芸エネルギー転換枠」(1/2以内)。既存の重油ボイラー等があることが前提 
LED電照・遮光カーテン 機械装置/資材 産パ基金(資材1/2) 

※「▲」は資産区分の判定が分かれやすい設備です。ハウスは構造や設置方法によって構築物とも資材とも整理されうるため、見積の内訳を分けて確認してください。 

収穫したあとの工程に移ります。選果・貯蔵は、建物が大きな比重を占める分野です。 

📦 4. 選果・貯蔵(選果機・倉庫・予冷庫等) 

倉庫は「建物」だから農水省系一択に近くなる 

産地の共同利用施設は強い農業づくり総合支援交付金(1/2以内等・産地基幹施設は原則総事業費5千万円以上・受益農業者5名以上)と産パ整備事業が主戦場。個別経営での導入なら構造転換支援(3/10)も候補です。倉庫は「建物」なので農水省系一択に近くなります。 

設備 資産区分 本命制度 
選果機・光センサー選別機 機械装置 産パ・強い農業づくり→選果場記事で詳説 
農業倉庫・低温倉庫・定温倉庫 建物 産パ整備・強い農業づくり→第5回で詳説 
予冷庫・CA貯蔵庫 建物▲(冷却装置は機械) 産パ整備・強い農業づくり 
カントリーエレベーター・ライスセンター 建物+機械 産パ整備→第6回で詳説 

※強い農業づくり総合支援交付金は共同利用が前提の制度です。1経営体で使う倉庫か、産地で共同利用する施設かによって入口が変わります。 

ここまでは耕種が中心でした。次は畜産です。 

🐄 5. 畜産(牛舎・搾乳ロボット・堆肥舎等) 

入口は畜産クラスター協議会 

畜産の本命は畜産クラスター事業(施設整備1/2・機械導入1/2、畜産クラスター協議会経由)。ただし食肉処理・加工など「その先」の工程では、食肉流通構造高度化・輸出拡大施設整備事業(旧・食肉施設再編)や輸出向けHACCPハードといった別ルートが開きます。 

設備 資産区分 本命制度 
牛舎・豚舎・鶏舎・堆肥舎 建物 クラスター施設整備(1/2)→畜産クラスター記事で詳説 
搾乳ロボット・自動給餌機・TMRミキサー 機械装置 クラスター機械導入(購入/リース・1/2) 
バイオガスプラント・汚水処理 機械装置▲ クラスター・環境系(数値は要確認) 
食肉処理・加工設備 機械装置 食肉流通構造高度化・輸出拡大施設整備事業(旧・食肉施設再編。流通合理化計画/コンソーシアム計画が前提)・輸出向けはHACCPハード(1/2)→食肉輸出記事で詳説 

※畜産クラスター事業は、地域の協議会が策定する畜産クラスター計画に位置づけられていることが前提です。個社で直接申請する制度ではない点にご注意ください。 

陸から海へ。水産は、制度の入口そのものが独特です。 

🐟 6. 水産(漁船・養殖・製氷等) 

「浜プラン」と「広域浜プラン」への位置づけが入口 

水産は「計画への位置づけ」が入口になります。共同利用施設は浜プラン(浜の活力再生プラン)、漁船リースは広域浜プラン(浜の活力再生広域プラン/漁船漁業構造改革広域プラン)に中核的漁業者として位置づけられていることが条件です。施設は浜の交付金(1/2)、漁船は漁船リース(1/2・1隻2.5億円上限)が本命です。 

設備 資産区分 本命制度 
漁船・船外機 船舶 漁船リース(1/2・2.5億円上限)→漁船記事で詳説 
陸上養殖水槽・ろ過装置 機械装置▲ マーケットイン型養殖業等実証事業(資材・機材1/2・上限5,000万円)。固定式コンクリート水槽・建屋・基礎工事は対象外→陸上養殖記事で詳説 
製氷機・荷さばき施設・冷海水装置 機械/建物 浜の交付金(1/2)→浜プラン記事で詳説 
フィレマシン・骨取り機 機械装置 浜の交付金・省力化→水産まとめへ 
水産加工場(建屋・輸出向け改修) 建物 HACCPハード(1/2・輸出事業計画認定)・浜の交付金→輸出まとめへ 

※漁船は他の分野では対象外になりやすい「船舶」ですが、水産分野には漁船リース(競争力強化漁船導入事業)という専用の受け皿があります。補助率・上限額は公募回により変わるため、最新の公募要領でご確認ください。 

※マーケットイン型養殖業等実証事業は、①外部機関による事業性評価(定額・上限80万円)→②養殖業改善計画の認定→③資材・機材の導入費支援(1/2・上限5,000万円)という2段階の制度です。動かせないコンクリート水槽や建屋、基礎工事・設計費は対象外。また「単に生産量を増やす」「老朽更新」「拠点を増やす」ための導入も対象外とされているため、陸上養殖の大型設備投資を丸ごと乗せられる制度ではない点にご注意ください。対象となる養殖種は、事業性評価ガイドラインが策定済みのものに限られます。 

産地と工場の中間にある工程も見ておきましょう。一次加工です。 

🏭 7. 一次加工(製粉・焙煎・カット野菜等) 

農業者側は6次化枠、食品製造事業者側は産地連携支援 

産地と工場の中間にある一次加工では、農業者側なら農山漁村振興交付金の地域資源活用価値創出整備事業——いわゆる6次化のハード枠(3/10・市町村戦略等の要件を満たせば1/2、上限1億円・条件により2億円。旧・食料産業・6次産業化交付金の後継)が本命です。食品製造事業者側なら、産地連携支援緊急対策事業が有力です。産地連携支援は「産地と連携して国産原材料の取扱量を増やす」計画を条件に、製造機器の導入・ライン増設を補助率1/2・上限2億円(産地支援の取組を含む場合3億円・下限100万円)で支援するもので、原材料の国産切替を伴う設備投資なら経産省系より補助上限が大きくなります。食料システム法に基づく計画認定と産地連携フォーラム参画が要件です(公募時期・詳細は最新の公募要領で要確認)。 

設備 資産区分 本命制度 
製粉機・米粉製粉機・粉砕機 機械装置 産地連携支援(1/2・上限2億)・6次化枠(農山漁村振興交付金)→6次産業化記事へ 
焙煎機・荒茶加工設備 機械装置 産パ整備(茶の採択事例あり)・6次化枠 
カット野菜ライン・ブランチング設備 機械装置 産地連携支援(国産切替なら)・6次化枠・省力化 
搾汁機・食品乾燥機・フリーズドライ 機械装置 産地連携支援・6次化枠・ものづくり 
輸出向け一次加工場(建屋・改修) 建物 HACCPハード(1/2)→輸出まとめへ 

※産地連携支援緊急対策事業は、食料システム法に基づく計画認定と産地連携フォーラムへの参画が要件です。公募期間が短いことが多いため、取扱量の目標設定と産地との合意形成を先に進めておくのが現実的です。 

⚠️ 判定が分かれる設備(▲)に注意 

判定が分かれる設備(▲)に注意:ハウス(構築物か資材か)、CA貯蔵庫(建物か機械か)、バイオガス(機械か構築物か)、陸上養殖の水槽(可搬か固定か)などは、区分次第で使える制度も税務も変わります。迷ったら見積の内訳を分解して専門家に確認を。 

分野別の逆引き表は以上です。全体像を1枚の図でも確認しておきます。 

【逆引き】農業・畜産・水産の設備別 補助金大全|設備逆引きの基本ルール(図解)

※まず「建物か機械か」で大きく分け、建物はさらに用途で、機械は「誰が買うか(農業者か食品製造事業者か)」で本命が決まります。 

📝 まとめ 

補助金は「制度名」から探すと迷いますが、「設備」と「資産区分」から引けば一本道になります。最後に、この記事の要点を5つに絞って振り返ります。 

🎯 【まとめ】この記事のポイント 
  • 補助金は「設備名」からではなく「資産区分(建物か機械か)」から逆引きすると迷わない。建物=農水省系、機械=経産省系も併用可 
  • 建物はさらに用途で分岐:共同利用施設=強い農業づくり(1/2)、産地計画の施設=産パ整備、畜舎=クラスター、浜の施設=浜の交付金、輸出向け加工場=HACCPハード 
  • 農業機械=構造転換支援(3/10)と産パリース(1/2)が基本形。食品製造事業者の国産切替投資には産地連携支援(1/2・上限2〜3億円)という農水省ルートもある 
  • 補助率・上限・対象は毎年度の要綱・実施要領で変わる。本表は2026年時点の検証値=申請前に最新の要綱で要確認 
  • 検索の多い設備(ドローン・トラクター・農業倉庫・米施設)は第3回以降で個別に深掘り 

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※本記事の補助率・上限額・対象経費は年度ごとの要綱・実施要領で変わります。また同じ制度でも「整備事業」「基金」「リース」など複数のメニューがあるため、申請前に必ず最新の要綱でご確認ください。本表は2026年時点の検証値です。 

📖 次回(第2回)予告 

次回(第2回)は食品工場編。前処理から煮る・炊く・揚げる・殺菌・包装・検査・搬送・ユーティリティ、そして業種ごとの専用機まで、約170設備を省力化投資補助金・新事業進出・ものづくり商業サービス補助金・HACCPハード等にマッピングします。 

📚 設備別 補助金講座|シリーズ一覧 

【第1回】:【逆引き】農業・畜産・水産の設備別 補助金大全 ◀今ここ 

【第2回】:【逆引き】食品工場の設備別 補助金大全(近日公開) 

【第3回】:農業用ドローンの補助金(近日公開) 

【第4回】:【逆引き】トラクター・農業機械の補助金(近日公開) 

【第5回】:【逆引き】農業倉庫・低温倉庫の補助金(近日公開) 

【第6回】:【逆引き】色彩選別機・乾燥機・精米機の補助金(近日公開) 

【第7回】:キッチンカーの補助金(近日公開)

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

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