設備別 補助金講座 第3回|農業用ドローンの補助金【2026】機体購入・リースに使える制度と申請の進め方   

農業用ドローンの補助金のアイキャッチ

ドローンで防除を省力化したい。でも1台100万円以上って聞くと、さすがに迷う…

『ドローン補助金』で検索しても、結局どの制度が使えるのか分からない

農業用ドローンは、防除(農薬散布などで作物を病害虫から守る作業)の負担を大きく減らせる一方、機体価格は決して安くありません。だからこそ「補助金は出るのか?」が最初の関心事になります。結論からいえば、補助金は使えます。ただし「農業用ドローン専用の国の補助金」という単独の制度はなく、既存の農業投資支援の枠組みにドローンを”載せる”のが基本形です。 

第1回第2回は設備から制度を逆引きする一覧でしたが、第3回からは検索の多い設備を1つずつ深掘りしていきます。まずはドローンです。 

この記事では、①補助金は出るのか(何が使えるか)→②制度の比較→③価格相場と補助後の負担→④要件の注意点→⑤申請の進め方、の順で整理します。読み終わる頃には、自分がどの制度から検討すべきかが見えているはずです。 

📋 この記事でわかること 
  • 農業用ドローンに使える補助金・税制の全体像と比較ポイント 
  • 防除用ドローンの価格相場と、補助を使った場合の自己負担イメージ 
  • 見落としやすい要件(オペレーター・機体登録・保険・農薬のルール) 
  • 導入までの申請ステップと、つまずきやすいポイント 
目次

🚁 1. 農業用ドローンに補助金は出るのか 

結論:出る。ただし「ドローン単独の国の補助金」はない 

まず押さえたいのは、国には「農業用ドローン補助金」という名前の制度は存在しない、という事実です。使えるのは、農業機械やスマート農業技術(ロボット・AI・ドローンなどの先端技術を使った農業)への投資を支援する既存の補助事業や税制です。ドローンはその対象機械のひとつとして採択され得る、という構図になります。 

つまり探し方のコツは、「ドローンの補助金」ではなく「農業機械・スマート農業機械の導入支援でドローンが対象になるもの」を探すこと。この視点に切り替えるだけで、候補は一気に広がります。 

ルートは大きく4つ 

使えるルートは、①国の補助事業、②税制優遇、③政策金融(日本政策金融公庫などの低利融資)、④都道府県・市町村の独自補助、の4つです。 

4つのルート どんな支援? 
国の補助事業 機体購入・リース費用の一部を補助(補助率3/10〜1/2など) 
税制優遇 購入初年度の税負担を軽減(特別償却=初年度に多く経費化できる仕組み) 
政策金融 認定計画に基づく長期低利の融資 
自治体の独自補助 機体購入や操縦講習の費用を補助(数十万円規模が中心) 

※4つのルートは排他ではありません。国の補助事業を軸にしつつ、税制や自治体補助を重ねられないかを同時に確認しておくと、実質負担を小さくしやすくなります。 

では、それぞれ具体的にどんな制度があるのか見ていきましょう。 

⚖️ 2. 使える制度の比較 

国の補助事業:産地・担い手向けの3本柱 

制度名 概要(補助率・上限・主な要件) 
地域農業構造転換支援事業 補助率3/10、機械のリース導入は定額(リース物件価格の3/7相当が上限)。上限は個人1,500万円・法人3,000万円。地域計画(市町村がつくる将来の農地利用の設計図)に位置づけられた担い手であることが要件 
産地パワーアップ事業(機械リース) リース導入経費の1/2以内を支援。産地の計画(産地パワーアップ計画)にドローン活用が位置づけられていることが前提。産地ぐるみの取組向け 
担い手確保・経営強化支援事業 融資を活用するなどして農業用機械・施設を導入する際に補助を交付する仕組み。補助率1/2以内。対象は「地域計画の目標地図に位置づけられた認定農業者・認定新規就農者・集落営農組織等」。スマート農業機械が優先枠で重点支援された実績あり。直近は令和7年度補正予算で実施され、要望調査は令和8年1月15日で締切。補正予算により年度で実施の有無・内容が変わるため最新公募で要確認 

※補助率・上限額・公募時期は年度ごとの要綱で変わります。いずれの制度も「地域計画」「産地パワーアップ計画」といった計画への位置づけが前提になるため、機体を選ぶ前に、自分がその計画に載っているかを確認してください。 

個人経営で1〜2台の導入なら地域農業構造転換支援事業、産地単位で防除体系を変えるなら産地パワーアップ事業、融資と組み合わせた規模拡大なら担い手確保・経営強化支援事業――というのが大まかな使い分けです。ただし公募時期・採択枠は年度で変わります。担い手確保・経営強化支援事業は補正予算での実施が続いており、次の機会は令和8年度補正予算での実施を待つ形になる見込みです。最新の要綱・公募情報の確認は必須です。 

税制優遇:購入するなら必ずチェック 

税制 内容と要件 
みどり投資促進税制 化学農薬・化学肥料の低減に資する設備に特別償却32%(機械等)。青色申告者が対象で、取得価額合計100万円以上、都道府県知事の計画認定が必要。ドローンは農薬のピンポイント散布ドローンなど、対象機械リストに載った機種のみ対象。適用期限は税制改正のたびに見直されるため、申請時に農林水産省ホームページで最新の期限をご確認ください 
スマート農業技術活用促進法の税制 生産方式革新実施計画の認定を受けると、スマート農業技術活用投資促進税制で機械装置に特別償却32%(一部25%、建物等は16%)。ただしスマート農業技術を組み込んだ機械装置は「発売から7年以内」のものに限られます。日本政策金融公庫の優遇融資も利用可。適用期限は令和9年3月31日 

※特別償却は税額そのものが減る仕組みではなく、初年度に多く経費化して課税所得を圧縮する仕組みです。黒字であることが前提になるため、補助金とどちらを優先するかは顧問税理士と相談のうえ決めてください。 

なお、スマート農業技術活用促進法の認定には税制だけでなく金融の特例もついてきます。日本政策金融公庫から長期低利の融資を受けられ、償還期限は25年以内、据置期間は5年以内、貸付金の使途に長期運転資金も設定できます。補助金で初期費用を圧縮し、残りを長期の公庫融資で組む——というのが、1章で挙げた「政策金融ルート」の実像です。 

注意点はどちらも「計画認定が先、購入は後」であること。認定前に買ってしまうと対象外です。また、みどり税制は”ドローンなら何でもOK”ではなく、対象機械リストに掲載された機種に限られます。スマート農業税制の側にも「発売から7年以内」という機種の縛りがあるため、中古機や旧型機を安く導入する場合は、税制が使えるかを先に確認してください。購入予定の機種がリストに載っているか、販売店と農水省の公表リストで必ず確認してください。 

都道府県・市町村の独自補助 

自治体独自の補助も見逃せません。例えば、山形県米沢市(機体等に補助率1/2・上限50万円)、岩手県八幡平市(機械整備は1/4以内・上限300万円、ドローン講習受講料は1/2以内※数値は二次情報)、茨城県龍ケ崎市(ドローン操縦講習費等に1/3以内※機体本体ではなく講習・機器等が対象)といった事例があります。金額・要件・対象(機体か講習か)・実施の有無は年度で変わるため、最新情報は必ずお住まいの自治体窓口で確認してください。 

💡 制度は「単独」ではなく「組み合わせ」で考える 

「国の補助事業×自治体補助×税制」は、要件を満たせば組み合わせられる場合があります(同一経費への重複受給は不可が原則)。単独の制度だけで判断せず、複数ルートを並べて検討するのがコツです。 

ここまでで制度の選択肢が見えてきました。では、そもそも機体はいくらするのか。負担のリアルを見ていきます。 

💰 3. 機体価格の相場と補助後の負担 

防除用ドローンの価格帯 

メーカー公表情報によると、農薬散布ドローンの機体本体は100万〜300万円程度が標準的な価格帯です。小型・低価格帯では100万円を切る機種もあります。ただし、かかるのは機体代だけではありません。 

費用項目 目安 
機体本体 100万〜300万円程度(小型機は100万円未満も) 
予備バッテリー・発電機等 機種により数万〜数十万円 
操縦講習(オペレーター育成) 1人あたり数万〜20万円台が中心 
年次点検・メンテナンス 年6万円程度〜(機種・整備内容による) 
損害保険(賠償・機体) 年数万円規模(補償内容による) 

※金額はいずれも一般的な目安で、機種・仕様・地域・整備内容によって変わります。見積を取る際は、機体本体だけでなくバッテリー・講習・保険・年次点検まで含めた総額で比較してください。 

トータルでは「機体価格+2〜3割」を初期・初年度費用として見込んでおくと、資金計画が崩れにくくなります。 

補助を使うといくらになる? 

仮に機体一式200万円のケースで考えてみます。地域農業構造転換支援事業(補助率3/10)が使えれば補助額は60万円、自己負担は140万円。産地パワーアップ事業の機械リース(1/2以内)なら、リース料の負担が最大で半分近く軽くなるイメージです。さらに購入の場合、みどり税制やスマート農業税制の特別償却で初年度の課税所得を圧縮できれば、実質負担はもう一段下がります。 

なお、防除を外部委託すると10アールあたり2,000〜3,000円程度が相場とされます。自分の経営面積と散布回数から「委託を続けた場合の年間コスト」を出し、補助後の自己負担額と比べるのが、導入判断のいちばん確実な物差しです。防除受託を事業にする側なら、この委託相場が収入の目安にもなります。 

金額の見通しが立ったところで、次は意外と見落とされがちな「飛ばすための要件」です。 

📋 4. 見落としやすい要件:オペレーター・登録・保険 

飛ばすまでに必要な法的手続き 

手続き・要件 内容 
機体登録 重量100g以上の機体は国土交通省への登録が義務(令和4年6月20日〜)。登録記号の表示とリモートID(機体情報を電波で発信する機能)が必要 
飛行許可・承認 農薬散布は「危険物の輸送」「物件投下」にあたり、国土交通大臣の承認が必要。申請は飛行開始予定日の10開庁日前までに(余裕をもって) 
操縦者の技能 国家資格の取得は義務ではないが、許可・承認には一定の飛行経歴・技能が求められる。補助事業や機体メーカーが講習修了を条件とする場合もある 
農薬のルール 「無人航空機による散布」の適用がある登録農薬を、ラベル記載の作物・希釈倍率・使用量どおりに使用。周辺の学校・家屋・蜜蜂の巣箱・有機ほ場等への事前周知も必要 
保険 法律上の加入義務はないが、第三者賠償保険は実務上必須。メーカーが1年分付帯するケースも多い 

※法令の運用は改正されることがあります。機体登録・飛行許可承認・農薬の使用ルールは、必ず国土交通省・農林水産省の最新の案内でご確認ください。 

かつて必要だった農水省への空中散布の事前届出制度は令和元年に廃止され、現在は国交省の飛行許可・承認に一本化されています。古い情報のまま準備しないよう注意してください。 

⚠️ 機体選定と同時に、人の育成と手続きのスケジュールを 

補助事業の申請書では「誰が操縦するのか(オペレーター体制)」「保険加入」「法令手続きの見込み」まで問われることがあります。機体選定と同時に、人の育成と手続きのスケジュールを組んでおきましょう。 

要件が整理できたら、いよいよ申請です。最後に進め方をまとめます。 

🗺️ 5. 申請の進め方:5つのステップ 

相談から実績報告まで、逆算して動く 

ステップ やること 
①窓口相談 市町村の農政担当・地域の普及指導センターに相談。地域計画・産地計画への位置づけ(担い手として名前が載っているか)を確認 
②制度の選定 国の補助事業・税制・自治体補助を比較し、公募スケジュールと照らして本命と併願を決める 
③見積・計画づくり 販売店から機体・講習・保険込みの見積を取得。作業時間の削減や規模拡大など、成果目標の数字を組み立てる 
④申請・審査 公募期間内に申請。採択・交付決定の前に発注・購入すると対象外になるのが大原則 
⑤導入・実績報告 機体登録・飛行承認・講習を済ませて運用開始。導入後は実績報告と成果目標の達成状況の報告が続く 

※公募は年1回程度の制度が多く、窓口相談から交付決定まで数か月かかります。導入したい防除シーズンの前年度から逆算して動くのが安全です。 

最大の落とし穴は、「交付決定前の購入」と「計画への位置づけ漏れ」です。公募を逃すと1年待ちになるため、半年〜1年前には窓口相談を始めるのが現実的なスケジュール感です。 

制度・費用・要件・手順が出そろいました。最後に、4つのルートを1枚の図で確認しておきます。 

農業用ドローンの補助金|農業用ドローンの補助金4ルート(図解)

※国の補助事業・税制・政策金融・自治体補助の4ルートは、要件を満たせば組み合わせられる場合があります(同一経費への重複受給は不可が原則)。 

📝 まとめ 

農業用ドローンは「ドローン専用の補助金」を探すと行き止まりになりますが、農業機械・スマート農業の支援に載せ替えれば道が開けます。最後に、この記事の要点を4つに絞って振り返ります。 

🎯 【まとめ】この記事のポイント 
  • 農業用ドローンに補助金は出る。ただし国の「ドローン専用補助金」はなく、地域農業構造転換支援事業(3/10、リースは定額3/7)や産地パワーアップ事業の機械リース(1/2以内)など既存制度に載せるのが基本 
  • 機体は100万〜300万円程度が相場。講習・保険・点検まで含めた総額で資金計画を立て、税制優遇(特別償却32%等)も併せて検討する 
  • 機体登録・飛行承認・農薬のルール・オペレーター育成は補助金とセットで準備。交付決定前の購入はNG 
  • 公募・要件は年度で変わるため、最新の要綱と自治体窓口での確認を必ず行う 

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📖 次回(第4回)予告 

次回(第4回)は「【逆引き】トラクター・農業機械の補助金」。3/10で買うか、リースで1/2か——農機の2大ルートの使い分けを解説します。 

📚 設備別 補助金講座|シリーズ一覧 

【第1回】:【逆引き】農業・畜産・水産の設備別 補助金大全

【第2回】:【逆引き】食品工場の設備別 補助金大全

【第3回】:農業用ドローンの補助金(近日公開)  ◀今ここ 

【第4回】:【逆引き】トラクター・農業機械の補助金(近日公開) 

【第5回】:【逆引き】農業倉庫・低温倉庫の補助金(近日公開) 

【第6回】:【逆引き】色彩選別機・乾燥機・精米機の補助金(近日公開) 

【第7回】:キッチンカーの補助金(近日公開)

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

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