設備別 補助金講座 第4回【逆引き】トラクター・農業機械の補助金【2026】3/10とリース1/2、どっちで買うのが得か


トラクターを買い替えたい。補助金があるって聞くけど、調べると制度名だらけで結局わからない



新車で1,000万円超。半分でも補助が出るなら話が変わるんだけど…
農業機械の補助金は、実は「2大ルート」に整理できます。ひとつは地域農業構造転換支援事業(個別の担い手が使う・補助率3/10)、もうひとつは産地パワーアップ事業の機械リース(産地ぐるみで使う・1/2以内)。この2つの違いさえ分かれば、トラクターもコンバインも田植機も、迷わず入口を選べます。ただし先にひとつだけ。どちらのルートも「同じ機械を同じ能力で買い直すだけ」の単純更新は対象外です。買い替えを補助金に乗せるには、規模拡大や省力化とセットで組み立てる必要があります(詳しくは3章)。
第3回のドローンに続き、今回は農機の本丸です。買い替えを検討中の方は、まず自分がどちらのルートに乗れるかを確かめてください。
この記事では、①2大ルートの比較 → ②税制・自治体の上乗せ → ③対象外の注意 → ④申請の進め方、の順で解説します。
- トラクター・コンバイン・田植機など農業機械に使える補助金の全体像(国の2大ルート+税制+自治体)
- 「補助率3/10で買う」か「リースで1/2」か——構造転換支援と産パの使い分け
- 中古機・小型機・汎用車両など「対象外になりやすいもの」の注意
- 申請の入口(地域計画・産地計画)と年間スケジュール
それでは、2大ルートの比較から見ていきましょう。
🛤️ 1. 2大ルート:構造転換支援(3/10)か、産パリース(1/2)か
比較表:3/10と1/2はどこが違うか
| 項目 | 地域農業構造転換支援事業 | 産地パワーアップ事業(機械リース) |
|---|---|---|
| 補助率 | 3/10以内(機械リースは定額・リース物件購入価格〈税抜〉の3/7以内※リース期間4年未満は減額あり。リースの場合は成果目標に加えて「リース期間終了後に相当程度の経営面積を拡大すること」が条件) | 本体価格の1/2以内 |
| 上限 | 個人1,500万円/法人3,000万円 | 交付要綱・県方針による |
| 入口 | 地域計画に位置づけられた担い手が個別に申請 | 産地パワーアップ計画(協議会経由)に位置づけ |
| 成果目標 | 経営面積3割or4ha以上拡大/付加価値額1割以上/労働生産性3%以上 のいずれか | 産地単位で販売額10%増等 |
| 向く人 | 個別経営体の規模拡大・更新(協議会を経由しない分、産パより手続きは軽い。ただし配分ポイントによる採点があり、要望すれば通るわけではない) | 産地ぐるみの導入・高額機(補助率が高い) |
※補助率・上限額・成果目標は年度ごとの要綱で変わります。産パリースの上限は都道府県の事業実施方針によっても差が出るため、申請前に必ず最新の要綱と県方針でご確認ください。
ざっくり言えば、手続きの軽さの3/10か、協議会を通す1/2か。1,000万円のトラクターなら、構造転換支援で300万円、産パリースなら最大500万円相当の負担軽減です。産地の計画に乗れる環境(協議会が動いている・JAが旗を振っている)なら産パ、単独でスピーディに進めたいなら構造転換支援が現実的です。
設備別の当てはめ
| 機械 | 第一候補 |
|---|---|
| トラクター・コンバイン・田植機 | 構造転換支援(3/10)/大型・産地ぐるみなら産パリース(1/2) |
| 自動操舵・可変施肥などスマート農機 | 産パリース+スマート農業技術活用促進法の税制(後述) |
| 畜産用トラクター・飼料収穫機 | 畜産クラスター機械導入(1/2)→畜産クラスター記事へ |
| 乾燥機・色彩選別機 | →第6回(米の乾燥調製・精米施設)で詳説 |
| ドローン | →第3回で詳説 |
※同じトラクターでも、畜産経営で使うものは畜産クラスター事業の機械導入(1/2)が本命になります。「何を買うか」だけでなく「どの経営で使うか」でも入口が変わる点にご注意ください。また令和8年度の実施要綱では、補助事業でトラクター・コンバイン・田植機を導入する場合、農機データをAPIで連携できる環境を整えているメーカーの製品を選ぶことが要件とされています(該当製品がない場合等の例外あり)。見積を取る前に、候補メーカーが対応しているかをご確認ください。
2大ルートが見えたところで、次はその上に重ねられる選択肢を見ていきます。
🎁 2. 上乗せの選択肢:税制と自治体
購入するなら、税制の上乗せを必ず確認する
購入する場合は税制も確認を。スマート農業技術活用促進法にもとづく生産方式革新実施計画の認定を受けると、スマート農業技術活用投資促進税制で機械装置に特別償却32%(適用期限:令和9年3月31日、認定が先・購入は後)。みどり投資促進税制(機械等32%・対象機種リスト掲載機のみ)も候補です。適用期限は税制改正のたびに見直されるため、申請時に農林水産省ホームページで最新の期限をご確認ください。さらに市町村独自の農機導入補助(数十万円規模)が上乗せできる地域もあります。
スマート農業税制・みどり税制は、補助金と同一資産でも併用できます(農水省Q&Aで明記)。ただし圧縮記帳を使うと圧縮後の取得価額に32%を掛けるため、節税効果はその分目減りします。一方、輸出促進税制のように「補助金を受けた資産は対象外」の税制もあるので、制度ごとの併用ルールを確認したうえで「どの機械に補助金、どの機械に税制」を割り振るのが実務のコツです。なお中古機はいずれの税制も対象外です。※特別償却と圧縮記帳の併用可否や税額控除との選択適用は、圧縮記帳の根拠法(法人税法か租税特別措置法か)によっても扱いが変わります。具体的な税効果や会計処理は、必ず顧問税理士・会計士にご確認ください。
上乗せの選択肢を押さえたら、次は落とし穴です。
🚫 3. 対象外になりやすいものに注意
つまずきやすい4つのポイント
つまずきやすいのは次の4つです。
- 汎用性のある車両(軽トラック・運搬車など)は対象外が原則
- 同種・同能力の機械への「単純更新」は対象外。買い替えであっても、能力アップや作業体系の転換を伴い、選んだ成果目標(面積拡大・付加価値額・労働生産性)に直結することを説明できる必要がある
- 中古機は制度・年度・市町村によって扱いが分かれる(構造転換支援は新品が基本。中古の可否は要領で要確認)
- 交付決定前の発注・購入は一発アウト。展示会や決算セールで先に契約しないよう注意してください
※4つ目はとくに多い失敗です。「補助金が採択されたら買う」ではなく「交付決定通知を受け取ってから発注する」が正しい順番になります。見積の有効期限にも余裕をもたせておくと安心です。
落とし穴が分かったところで、最後に進め方を確認します。
🗺️ 4. 申請の進め方
入口は2つとも「計画」
入口は2つとも「計画」です。構造転換支援は市町村の地域計画(目標地図)に担い手として位置づけられていること、産パは産地パワーアップ計画への位置づけが前提。まず市町村農政課・JA・普及センターに「自分は計画に載っているか」を確認するのが第一歩です。
公募・要望調査は年1回程度(構造転換支援は市町村の要望調査ベース)なので、購入したい作期から逆算して半年〜1年前に動き始めてください。
※要望調査は市町村ごとに締切が異なり、国や県の期限より早く設定されるのが通例です。「国の締切はまだ先」と構えていると、市町村の窓口はすでに閉じていることがあります。
2大ルートの関係を、最後に1枚の図で確認しておきます。


※どちらのルートも出発点は「計画への位置づけ」です。機械の型式を決める前に、自分がどの計画に乗れるかを確かめるのが近道になります。
📝 まとめ
農業機械の補助金は、制度名を並べると複雑に見えますが、「個別で3/10か、産地で1/2か」の一本の分かれ道に整理できます。最後に、この記事の要点を4つに絞って振り返ります。
- 農業機械は「構造転換支援(3/10・個人1,500万/法人3,000万・手続き軽い)」と「産パリース(1/2・協議会経由)」の2大ルートで考える
- 購入なら税制(スマート農業税制・みどり税制の特別償却32%)の上乗せも。補助金と併用可能だが、圧縮記帳後の取得価額に適用=効果は目減り。中古機は税制対象外
- 軽トラ等の汎用車両と「単純更新」は対象外、中古は要確認、交付決定前の購入はNG
- 入口は地域計画・産地計画への位置づけ。作期から逆算して半年〜1年前に市町村・JAへ相談を
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次回(第5回)は「【逆引き】農業倉庫・低温倉庫の補助金」。機械と違って倉庫は”建物”なので、使える制度がガラッと変わります。農水省系ルートの選び方を解説します。
【第4回】:【逆引き】トラクター・農業機械の補助金 ◀今ここ
【第5回】:【逆引き】農業倉庫・低温倉庫の補助金(近日公開)
【第6回】:【逆引き】色彩選別機・乾燥機・精米機の補助金(近日公開)
【第7回】:キッチンカーの補助金(近日公開)








