【食品工場省エネ対策シリーズ 第2回】 食品工場の電気代を下げる冷凍・冷蔵設備の省エネ対策 | 補助金を使った設備更新の進め方

食品工場の省エネ・コスト削減をテーマにした連載の第2回は「冷凍・冷蔵設備」です。

冷凍設備を新しくしたいが、投資額が大きくて二の足を踏んでいる……



古い設備のままで、このまま使い続けて大丈夫なのか不安……
食品工場の電力消費の3〜4割(場合によっては半分近く)を占める冷凍・冷蔵設備。
原材料の保管から製造、出荷待ちまで、24時間365日電気を食い続けるこの設備を攻略せずに、コスト削減は語れません。
本記事では「投資ゼロの改善」と「補助金を使った賢い設備投資」の両面から解説します。
- 今すぐ「投資ゼロ」でできる冷凍・冷蔵設備の省エネ改善
- 設備更新を急ぐべき「2030年問題(フロン規制)」とは
- 設備投資に使える補助金・税制優遇の組み合わせ方
- 社内を説得する「投資回収シミュレーション」の考え方
さっそく本題に入りましょう。まずはお金をかけずに今すぐできる改善から確認してください。
1. まずは「投資ゼロ」で利益を捻出する
新しい設備を導入する前に、今の運用で「捨てているお金」がないか確認してください。以下の4つを見直すだけで、電気代が数%変わることがあります。
| 改善ポイント | 具体的な内容 | 期待効果 |
|---|---|---|
| 🌡️ 温度設定の見直し | 設定温度を1℃緩和するだけで消費電力が2〜3%削減できる場合があります。品質に影響しないギリギリのラインを専門業者に確認しましょう。 | 電気代 2〜3%削減 |
| ❄️ デフロスト(霜取り)の適正化 | 霜取り運転中は冷却を止めてヒーターを使うため電力消費が増えます。回数・時間が多すぎないか、業者にタイマー設定の確認を依頼しましょう。 | 無駄な電力消費を削減 |
| 🔧 コンデンサ(凝縮器)の清掃 | 室外機の熱交換器(フィン)にホコリが詰まると放熱効率が落ち、コンプレッサが余計に回ります。高圧洗浄するだけで効率が大きく改善することがあります。 | 放熱効率の回復 |
| 🚪 庫内レイアウトとカーテン | 冷気の通り道を塞ぐ詰め込み方はNGです。扉の開閉ロスを防ぐビニールカーテンは、最もコスパの良い省エネ投資の一つです。 | 冷気ロス大幅削減 |
運用改善で電気代を絞り出したら、次はもう一段上の話をしなければなりません。
実は、省エネとは別の理由でも設備更新を急ぐ必要があります。
2. 設備更新を急ぐべき「2030年問題」
上記のような運用改善には限界があります。
特に15年以上前の設備をお使いの場合は、省エネ以前に「事業継続のリスク」があります。
古い冷媒(R22など)は、フロン規制により2030年に向けて生産が全廃されます。故障しても修理用の冷媒が手に入らなくなる可能性があり、最悪の場合は工場の冷凍・冷蔵ラインが止まってしまいます。
壊れてから対応しようとすると手遅れになりかねません。「省エネによるコスト削減」と「フロン規制への対応(BCP)」を同時に解決する手段として、計画的な設備更新が重要です。
最新設備のトレンド
| 設備タイプ | 特徴・メリット |
| 高効率自然冷媒機(CO2冷媒など) | フロン規制に対応しながら電気代も削減。脱炭素と省エネを同時に実現できます。 |
| インバータ制御・モジュールチラー | 負荷に合わせて回転数や稼働台数を自動制御。無駄な稼働をなくして消費電力を最適化します。 |
設備更新の必要性はわかった。でも投資額が大きくて踏み出せない——そんな方にこそ知ってほしいのが、補助金と税制優遇の組み合わせです。
3. 設備投資に使える「補助金」と「税制優遇」
冷凍・冷蔵設備の更新は投資額が大きくなりがちですが、補助金と税制優遇を組み合わせることで、実質的な負担を大きく減らすことができます。
■ 経済産業省:省エネルギー投資促進支援事業費補助金
- 「(C)指定設備導入事業」などの枠では、登録済みカタログから型番を選ぶだけで申請できるケースもあり比較的使いやすい
- 対象設備:冷凍冷蔵庫・空調・ボイラーなど
- 補助率:1/3〜1/2(条件により2/3)
■ 農林水産省:食品産業省力化投資促進緊急対策事業
設備更新によって「自動化」や「省人化」も実現できる場合(例:急速冷凍機で工程短縮など)はこちらも狙い目です。
- 申請のポイント:省エネだけでなく「人手不足対策」のストーリーが必要
- 補助率:1/2(条件により変動)
■【重要】税制優遇(即時償却・税額控除)
「中小企業経営強化税制」などを活用すると、設備費用の「即時償却(一括経費化)」や「税額控除(7〜10%)」が可能です。
補助金でイニシャルコストを下げ、税制でキャッシュフローを改善する。これが設備投資における正しい財務戦略です。
とはいえ、社内で設備投資の話を通すには「感覚」ではなく「数字」が必要です。実際にいくらお得になるのか、シミュレーションで確認してみましょう。
4. 投資回収シミュレーション(目安)
社内で設備投資の承認を得るには、「何年で回収できるか」を数字で示すことが重要です。
| 補助金なし | 補助金(1/2)活用後 |
|---|---|
| 投資額:1,500万円 年間削減:150万円 回収期間:10年 | 実質負担:750万円(補助後) 年間削減:150万円 回収期間:5年 ✅ |
補助金を活用するだけで、投資回収期間が10年から5年に短縮されます。さらに故障リスクや冷媒調達リスクもなくなると考えれば、計画的な更新投資には大きなメリットがあります。
ここまでの内容を整理して、次のアクションを確認しておきましょう。
5. まとめ
冷凍・冷蔵設備は食品工場の心臓部であり、最大のコストセンターです。以下の3ステップで段階的に対策を進めましょう。
- デフロスト見直し・コンデンサ清掃など「投資ゼロの改善」を先に徹底しましょう。
- 15年以上の古い設備は「フロン規制(2030年問題)」のリスクがあるため、早期更新を検討しましょう。
- 更新時は「補助金」+「税制優遇」のダブル活用で投資回収を早めましょう。
「自社の設備だと電気代がいくら下がって、どの補助金が使えるか?」具体的なシミュレーションをご希望の方は、直近の電気料金明細をご用意の上、お気軽にご相談ください。
第3回は熱源の要である「ボイラー・空調・コンプレッサ」の省エネ戦略を解説します。食品工場ならではの使い方・狙い目補助金もあわせて紹介します。
第1回:食品工場で使える省エネ補助金まとめ|経産省・農水省・環境省の特徴と使い分け
第2回:食品工場の電気代を下げる冷凍・冷蔵設備の省エネ対策|補助金を使った設備更新の進め方◀今ここ
第3回:食品工場のボイラー・空調・コンプレッサ省エネ戦略|今すぐできる運用改善と補助金活用
✍️ この記事を書いた人
北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役
老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、
食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。
補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。
【会社実績】
・支援プロジェクト総事業費:363億円
・補助金採択額:126.5億円
・北海道から沖縄まで全国対応
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