【食品工場 建築費高騰・投資戦略シリーズ|第4回】業種別「食品工場で使える農水省補助金マップ」水産・製菓・酒蔵・茶・冷凍・畜産で何が違うか 

業種別|食品工場で使える農水省補助金マップのアイキャッチ

同業他社が使っている補助金を、そのままうちに当てはめていいものだろうか

水産も製菓も畜産も、同じ食品工場でしょ? そんなに使える制度が違うの?

食品メーカーといっても、業種が変われば建築費高騰の受け方も、使うべき補助金も、設計の勘所もまったく違います。シリーズ第1〜3回では「食品工場全般」としてまとめて扱ってきたテーマを、この第4回では業種別に分けて整理します。 

本記事では、当社が支援している水産加工・製菓・酒蔵・茶・冷凍・畜産という6つの主要業種を取り上げ、それぞれの「建築費インパクト」「最適補助金」「設計の勘所」「採択のキー」を整理します。 

📋 この記事でわかること 
  • 6業種(水産加工/製菓・製パン/酒蔵・醸造/茶・飲料/冷凍食品/畜産加工)で、建築費高騰の影響と本命になる補助金がどう違うかがわかる 
  • 自社の業種と投資規模から、HACCPハード事業・強い農業づくり総合支援交付金・畜産クラスター事業のどれを軸に据えるかを判断できる 
  • 業種ごとの「設計の勘所」と「採択のキー」(審査で効く書き方)がつかめる 
  • 記事で扱っていない業種でも、近い業種の型に当てはめて考える道筋がわかる 

それでは、6業種の全体像から見ていきましょう。 

目次

1. 業種別オーバービュー|全体像を俯瞰する 

建築費高騰の影響度、本命になる補助金、補完に使える補助金を1枚に並べました。 

以下の表で、業種ごとの違いを整理します。 

【図表1】業種別 建築費影響と推奨補助金 

業種 建築費高騰の影響度 推奨補助金(本命) 推奨補助金(補完) 
水産加工業 高(冷凍設備) HACCPハード事業 強い農業づくり総合支援交付金 
製菓・製パン業 中(中規模が多い) HACCPハード事業 産地連携支援緊急対策事業(原料転換時) 
酒蔵・醸造業 高(大型設備) 強い農業づくり総合支援交付金(酒類製造施設は要事前確認) HACCPハード事業 
茶業・飲料製造業 中〜高(輸出特需) HACCPハード事業 強い農業づくり総合支援交付金 
冷凍食品業 高(冷凍設備) 強い農業づくり総合支援交付金 HACCPハード事業 
畜産加工業 中(衛生区画厳格) 畜産クラスター補助金(畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業) HACCPハード事業 

出所:アカネサスの支援実績データより作成 

※補助金の名称・補助率・上限額は、予算年度や公募回によって変わります。申請前に必ず最新の公募要領でご確認ください。 

表と図から見えてくるのは、次の3点です。 

第1に、業種によって「建築費高騰の影響度」が大きく違います。冷凍設備が中心になる水産加工業・冷凍食品業は、その影響をいちばん強く受けます。一方、製菓・茶業は中規模設備が中心で、影響度は中程度です。 

第2に、業種ごとに「本命の補助金」が変わります。水産加工業・製菓業はHACCPハード事業がスイートスポット、酒蔵・冷凍食品業は強い農業づくり総合支援交付金、畜産加工業は畜産クラスター補助金。この使い分けが出発点になります。 

第3に、業種特有の「採択ストーリー」を組み立てることが重要です。同じHACCPハード事業でも、水産加工業ならEU輸出向けの認証戦略、製菓業なら日本食文化の発信、酒蔵なら原料米生産者との連携と、書き方がまったく変わります。 

食品工場 建築費高騰・投資戦略シリーズ|業種別 補助金マップ(図解)

出所:アカネサスの支援実績データより作成

ここからは、6業種を1つずつ見ていきます。まずは建築費インパクトが最も大きい水産加工業からです。 

2. 水産加工業|HACCPハード事業との抜群の相性 

水産加工業は、冷凍冷蔵設備が大型化するため、建築費高騰の影響をいちばん強く受けます。一方で、輸出先国(EU・米国・中国等)が求めるHACCP(食品の安全を守るための国際的な衛生管理の手法)等への対応を早くから迫られてきた分野でもあり、HACCPハード事業の趣旨とぴったり重なります。 

水産加工業の勘所を、以下の表にまとめました。 

【図表2】水産加工業の補助金活用ポイント 

項目 ポイント 
典型的な投資規模 5〜30億円(大型設備が多い) 
主たる補助金 HACCPハード事業(交付上限6億円)/強い農業づくり総合支援交付金 
建築費インパクト 凍結設備・冷蔵設備で建築費の40〜50%を占める 
設計の勘所 凍結処理を上階に配置、解凍水の一方向化、自動倉庫との一体設計 
輸出親和性 極めて高い(EU・米国・中国・東南アジア向け) 
採択のキー 輸出計画の具体性、HACCP/FSSC22000等の認証取得計画 

出所:アカネサス支援実績データ 

※HACCPハード事業の交付上限は、予算年度・公募回によって大きく変わります。令和7年度補正予算は上限6億円・下限250万円、令和8年度当初予算は上限1億円です(2026年5月時点では、両方が並行して公募されています)。また、施設を新設する場合に補助対象となるのは工事費の全額ではなく、輸出先国の規制に対応するために余計にかかった「掛かり増し経費」の部分です。申請前に最新の公募要領でご確認ください。 

2-1. 縦動線×冷凍設備の組み合わせ 

水産加工業のコンパクト化では、3階建ての縦動線設計がよく効きます。1階に汚染区画(受入・解体・廃棄)、2階に準清浄区画(仕込・加工)、3階に清浄区画(包装・凍結・出荷準備)と階層配置することで、平屋と比べて建築面積を40〜50%圧縮できます。 

加えて、凍結処理エリアを上階に置けば、解凍水の一方向化が自然に成立します。これは衛生管理上のメリットだけでなく、洗浄エリアを集約でき、建築面積の圧縮にもつながります。 

2-2. 輸出計画の蓋然性をどう示すか 

HACCPハード事業の採択を勝ち取るには、輸出計画の蓋然性(その計画が実現しそうだと審査側が納得できる度合い)が決定的に重要です。水産加工業の場合、すでに国内取引している商社経由での輸出実績、または海外バイヤーとの具体的なやり取りが、強力な裏付けになります。 

💡 「とりあえず輸出も視野に入れたい」という抽象的な書き方では採択は難しいです。「○○国の○○社との取引で、年間○トン・○億円の輸出計画」という具体性が求められます。 

続いて、投資規模が補助金の上限とかみ合いやすい製菓・製パン業を見ていきます。 

3. 製菓・製パン業|310億円のスイートスポット 

中堅の製菓・製パンメーカーは、3〜10億円規模の工場新設・改修が中心です。この規模帯は、HACCPハード事業で狙える補助額の上限(令和7年度補正予算では6億円)とかみ合いやすい水準です。 

ただし新設の場合、補助対象になるのは工事費の全額ではなく、輸出規制に対応するために余計にかかった「掛かり増し経費」の部分です。投資額がそのまま補助対象になるわけではない点は、計画づくりの前提として押さえておいてください。 

製菓・製パン業の勘所は、以下のとおりです。 

【図表3】製菓・製パン業の補助金活用ポイント 

項目 ポイント 
典型的な投資規模 3〜10億円(中堅規模が多い) 
主たる補助金 HACCPハード事業(中堅メーカーのスイートスポット) 
建築費インパクト 焼成・冷却・包装ラインの直線配置が標準 
設計の勘所 包装エリアを2階配置、自動搬送で平面積圧縮 
輸出親和性 中〜高(冷凍生地・チルド製品・常温日持ち製品で輸出形態が多様) 
採択のキー 輸出計画と日本食文化発信のストーリー設計 

出所:アカネサス支援実績データ 

3-1. 包装エリアの2階配置で建築面積を圧縮 

製菓・製パン業では、生地仕込み→焼成→冷却→包装の工程が直線的なので、L字型・ロの字型の動線で平面積を最小化できます。さらに、包装エリアを2階に配置し、焼き上がった製品を自動エレベーターで搬送する設計が標準的になりつつあります。 

包装作業は清浄区画でクリーン度が求められるため、汚染源と物理的に分離しやすく、HACCPゾーニング(衛生区画の分け方)上も合理的です。 

3-2. 和洋菓子の輸出を絡めた採択戦略 

和洋菓子の輸出は、日本食文化の海外浸透とともに需要が拡大しています。冷凍生地・チルド製品・常温日持ち製品など、輸出形態に応じた施設設計を、補助金要件とかみ合わせることがポイントです。 

そこにSDGs対応パッケージ材料を用いた新商品開発などの付加価値を重ねると、採択のストーリーが立てやすくなります。実際にどの業種でどれくらいの補助を受けているかは、第8章の図表8で整理しています。 

次は、投資額が一段大きくなる酒蔵・醸造業です。 

4. 酒蔵・醸造業|強い農業づくり総合支援交付金との連動 

日本酒・焼酎・ビール・醤油・味噌などの醸造業は、海外輸出の急成長にあわせて、設備投資ニーズが高まっています。10〜30億円規模の大型投資では、強い農業づくり総合支援交付金が本命になります。 

ただし一点、注意が必要です。醤油・味噌・酢といった食品は農林水産省の所管ですが、酒類は国税庁の所管です。酒造施設そのものが交付対象になるかは、整備する施設の内容と、産地側でつくる計画の組み立て方によって判断が分かれます。酒蔵の設備投資でこの交付金を検討する場合は、構想段階で都道府県の担当課に相談しておくと確実です。 

酒蔵・醸造業の勘所は、以下のとおりです。 

【図表4】酒蔵・醸造業の補助金活用ポイント 

項目 ポイント 
典型的な投資規模 10〜30億円(大型醸造設備) 
主たる補助金 強い農業づくり総合支援交付金(原料生産者連携が要件) 
建築費インパクト タンク高さ・温度管理エリアで建築費が膨らみやすい 
設計の勘所 タンク高さの活用、麹室・醗酵室の地下配置検討 
輸出親和性 高(日本酒・焼酎・ビール・醤油・味噌の海外輸出は急成長) 
採択のキー 原料生産者(酒米・大麦・大豆等)との具体的連携計画 

出所:アカネサス支援実績データ 

※強い農業づくり総合支援交付金(食料システム構築支援タイプ)の交付率は、整備事業が原則として事業費の1/2以内です(対象作物・施設種別等により10分の6以内、10分の4以内、3分の1以内などになる場合があります)。単年度の交付金要望額の上限は、整備事業が20億円、推進事業(ソフト・機械リース等)が5,000万円です。交付率・上限額は予算年度や公募回によって変わるため、申請前に必ず最新の公募要領でご確認ください。 

※酒類製造施設そのものが交付対象になるかは、施設の内容や計画の組み立てによって判断が分かれます。構想段階で都道府県の担当課にご確認ください。 

4-1. 原料生産者連携が要件のカギ 

強い農業づくり総合支援交付金は、原料生産者との連携が要件です。酒米・大麦・大豆など、自社の原料生産者と具体的な連携計画を組み立てられるかどうかが、採択の前提になります。 

「○○県の酒米農家と複数年契約を結び、年間○トンを安定調達」「○○ホップ農家との連携で国産ホップ100%のクラフトビール」といった、原料調達戦略と設備投資計画を一体で組み立てる必要があります。詳細はfood-hojo.jpの「強い農業づくり総合支援交付金シリーズ」で解説しています。 

4-2. タンク高さ・地下空間の活用 

酒蔵・醸造業は、タンクの高さ(5〜10メートル超)を建築設計に活かしやすい業種です。タンクを囲む形で複層の作業デッキを配置し、付帯エリアを最小化できます。 

また、麹室・醗酵室は温度・湿度管理が厳しく、外気の影響を受けにくい地下配置が理にかなっています。地下を活用することで、地上階の建築面積を圧縮できます。 

次は、いま最も追い風が吹いている茶業・飲料製造業です。 

5. 茶業・飲料製造業|輸出向け抹茶設備への補助 

茶業のなかでも、とくに抹茶は海外需要が世界的に急増しており、生産能力の増強が国家的な課題になっています。HACCPハード事業と強い農業づくり総合支援交付金の組み合わせ活用が有効です。 

茶業・飲料製造業の勘所は、以下のとおりです。 

【図表5】茶業・飲料製造業の補助金活用ポイント 

項目 ポイント 
典型的な投資規模 5〜20億円(抹茶設備など特殊化) 
主たる補助金 HACCPハード事業+強い農業づくり総合支援交付金の組み合わせ 
建築費インパクト 抹茶製造設備・粉砕設備・包装設備が中心 
設計の勘所 原料投入は上階、製品取出しは下階の重力利用設計 
輸出親和性 極めて高い(抹茶の海外需要は世界的に急増) 
採択のキー 輸出向け抹茶生産能力増強の数値計画と海外市場戦略 

出所:アカネサス支援実績データ 

5-1. 重力利用の上下動線設計 

茶業・飲料製造業は、原料の投入が上から、製品の取り出しが下から行われる重力利用の動線が組みやすい業種です。抹茶製造設備など、輸出向け特殊設備の高さがある場合、縦動線設計の経済効果がはっきり出ます。 

5-2. 抹茶輸出特需への補助金フル活用 

抹茶の海外需要急増は、補助金活用の絶好の機会です。海外向け抹茶製造能力の増強は、HACCPハード事業(輸出向け)の趣旨と完全に合致し、強い農業づくり総合支援交付金(茶農家との連携)の要件にも適合します。 

💡 両補助金を組み合わせれば、自己負担を大きく抑えながら、輸出市場の急成長を取り込む大型投資が可能になります。 

次は、冷凍設備の建築費インパクトが最も大きい冷凍食品業です。 

6. 冷凍食品業|大型冷凍設備の補助金最大化 

冷凍食品・冷凍麺は、消費者の食生活の変化により国内需要も堅調で、新工場の建設が相次いでいます。大規模冷凍設備の建築費インパクトが大きい分、補助金活用の経済効果もはっきり出る業種です。 

冷凍食品業の勘所は、以下のとおりです。 

【図表6】冷凍食品業の補助金活用ポイント 

項目 ポイント 
典型的な投資規模 10〜30億円(大型冷凍設備) 
主たる補助金 強い農業づくり総合支援交付金、輸出計画があればHACCPハード事業との併用も 
建築費インパクト 凍結機・自動倉庫が建築費の50〜60% 
設計の勘所 自動倉庫と一体設計、5階建て以上の超縦動線型工場も検討 
輸出親和性 中〜高(冷凍食品の海外輸出は冷凍チェーン整備で拡大中) 
採択のキー 国産原料利用と地域連携、または輸出計画の蓋然性 

出所:アカネサス支援実績データ 

6-1. 自動倉庫との一体設計 

冷凍食品業では、自動倉庫の整備が建築費の大きな割合を占めます。生産ラインと自動倉庫を一体設計し、5階建て以上の超縦動線型工場とすることで、建築面積を大きく圧縮した事例があります。 

⚠️ ただし、自動倉庫の故障時の代替動線確保、地震時の安全性確保など、リスク管理上の検討項目が多いため、専門設計事務所との連携が必須です。 

6-2. 国産原料利用と地域連携で強い農業づくりを狙う 

10〜30億円規模の投資では強い農業づくり総合支援交付金が有力です。冷凍野菜・冷凍果実など、国産原料の利用拡大と地域連携が要件として効きます。輸出計画を組み込めばHACCPハード事業との併用も可能なケースがあります。 

最後の業種は、ほかとは別枠の予算で動く畜産加工業です。 

7. 畜産加工業|畜産クラスター補助金との連動 

ハム・ソーセージ・食肉加工などの畜産加工業では、畜産農家との連携を前提とする「畜産クラスター補助金」(正式名称は畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業)が視野に入ります。補助率は1/2以内、施設整備の補助上限は国費で1年あたり5億円、2年までの事業計画とすれば、合計で最大10億円です。 

ここで押さえておきたいのは、補助を受けるのが「中心的な経営体」に位置づけられた畜産農家・農業法人・飼料生産組織だという点です。食肉加工メーカーが単独で申請する制度ではなく、地域の畜産クラスター協議会を組み、そのクラスター計画のなかに自社の加工施設を位置づける形が基本になります。 

畜産加工業の勘所は、以下のとおりです。 

【図表7】畜産加工業の補助金活用ポイント 

項目 ポイント 
典型的な投資規模 5〜20億円 
主たる補助金 畜産クラスター補助金(補助率1/2以内) 
建築費インパクト 衛生区画の厳格分離で建築面積が膨らみやすい 
設計の勘所 解体・整形・包装を階層分離、廃棄動線の独立確保 
輸出親和性 中(畜産物の輸出は規制対応が厳しい) 
採択のキー 畜産農家との連携、生産・加工・流通の一気通貫体制 

出所:アカネサス支援実績データ 

⚠️ 「畜産クラスターは補助率2/3」という説明を見かけることがありますが、施設整備・機械導入の補助率は1/2以内です(農林水産省「畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業等」令和7年度補正予算の事業概要)。定額補助のメニューと混同されやすいので、必ず最新の要綱でご確認ください。 

7-1. 「別枠の予算」を取りにいく意味 

畜産クラスター補助金の補助率は1/2以内で、HACCPハード事業や強い農業づくり総合支援交付金と同じ水準です。ではどこに強みがあるかというと、これらとは別枠の畜産予算から手当てされる点にあります。令和7年度補正予算では畜産クラスター事業に総額約591億円(うち収益力強化などを支える収益性向上タイプに約534億円)が計上されており、畜産農家との連携を組める事業者にとっては、競合の少ない大型の受け皿になります。 

たとえば6億円の畜産加工施設を整備する場合、補助率1/2なら補助金3億円・自己負担3億円です。補助率そのものは他制度と変わりません。それでも畜産クラスターを狙う理由は、応募者の顔ぶれがまったく違うからです。輸出企業がひしめく枠で競うのか、畜産の枠で競うのか。同じ3億円でも、取りにいく難易度が変わります。 

7-2. 解体・整形・包装の階層分離設計 

畜産加工業は、解体→整形→包装の動線をHACCP要件上きびしく分けて管理する必要があるため、コンパクト化の難易度は高めです。ただし、解体区画を1階、整形・包装を2階に階層分離することで、衛生区画の混在を物理的に防ぎつつ、建築面積を圧縮できます。 

ここまでの6業種について、実際の採択事例を見ておきましょう。 

8. 業種別採択事例|実績データから見る活用イメージ 

当社が実際に支援してきた業種別の採択事例の概要を、参考として整理しました(具体的な企業名・地域名は伏せています)。 

【図表8】業種別の補助金活用事例 

業種 投資規模 活用補助金 ストーリーのポイント 
水産加工業 10億円規模 HACCPハード事業 4.2億円 SDGs対応パッケージで輸出拡大 
果樹加工業 6億円規模 HACCPハード事業 3億円 台湾向けISO22000取得 
菓子製造業 10億円規模 HACCPハード事業 5億円 冷凍菓子の米豪輸出 
砂糖菓子製造業 数億円規模 HACCPハード事業 2億円 ISO22000取得のための新工場 

出所:アカネサス支援実績データ(一部抽象化) 

※補助額は、各案件で補助対象と認められた経費に対する交付額です。投資規模に対する比率は案件ごとに異なり、投資額の一定割合が必ず補助されるわけではありません。 

これらの事例から見えてくる共通点は、(1) 業種特有のストーリー設計、(2) 輸出計画または産地連携の具体性、(3) 認証取得・SDGs対応など付加価値の明示、の3点です。 

9. その他業種|パン・調味料・乳製品 等 

本記事で詳しく扱った6業種以外にも、農水省補助金を活用できる食品業種は多数あります。 

・パン製造業:製菓と類似の活用パターン。冷凍生地での輸出が成長領域。 

・調味料製造業:醸造系(醤油・味噌・酢)は酒蔵業と類似、ソース・ドレッシング系は製菓業に近い。 

・乳製品製造業:HACCP要件が極めて厳格。HACCPハード事業の活用余地が大きい。 

・米加工業:米粉等の新商品開発と組み合わせた強い農業づくり総合支援交付金の活用が広がっている。 

・乾物・即席麺:冷凍食品業と類似の活用パターン。 

業種別の最適な補助金活用については、個別事情に応じた検討が必要です。当社の無料相談でも、業種特性を踏まえたご提案を行っています。 

10. まとめ|自社業種の補助金ロードマップ 

この記事のポイントを、業種別に振り返ってみましょう。 

  • 水産加工業|HACCPハード事業+3階建て縦動線設計が王道

  • 製菓・製パン業|3〜10億円規模でHACCPハード事業がスイートスポット 

  • 酒蔵・醸造業|強い農業づくり総合支援交付金+原料生産者連携(酒類製造施設が対象になるかは要事前確認) 

  • 茶業・飲料製造業|HACCPと強い農業づくりの併用で抹茶輸出特需を取り込む 

  • 冷凍食品業|自動倉庫一体設計+強い農業づくり総合支援交付金

  • 畜産加工業|畜産クラスター補助金が決定打(補助率1/2以内。畜産農家を中心とする協議会の組成が前提) 

業種が違えば、補助金も設計もまったく異なります。「同業他社が使った補助金」をそのまま自社に当てはめるのではなく、自社業種の特性と投資規模に合わせた最適解を組み立てる必要があります。 

少しでも気になった方は、記事の最後の無料診断もぜひご活用ください。 

📖 次回(第5回・最終回)予告 

第4回:業種別|食第5回:補助金併用テクニック|農水省と経産省を組み合わせて自己負担を最小化する実務

第5回では、本シリーズで触れてきた各補助金を「どう組み合わせて自己負担を最小化するか」を、農水省と経産省の併用テクニックを中心に解説します。 

11. よくある質問(FAQ)

自社の業種が記事で扱われていません。補助金は使えますか? 

本記事で扱った6業種以外でも、食品製造業であれば多くの場合、農水省補助金の活用余地があります。具体的にどの補助金が最適かは、業種特性と投資規模、輸出計画の有無、原料調達戦略などを総合的に判断する必要があります。当社の無料相談で、業種別の具体的な活用提案を行っています。 

業種をまたぐ複合施設の場合、どの補助金を選べばいい? 

複数業種を含む複合施設の場合、メインとなる事業の業種で補助金を選定するのが基本です。たとえば、製菓業を主業として、副業で和菓子原料製造も行う場合、HACCPハード事業(製菓業として)と強い農業づくり総合支援交付金(原料製造業として)の併用も検討できます。複合施設は申請書設計の難易度が高いため、専門コンサルへの相談を推奨します。 

畜産クラスター補助金の補助率はどのくらい? 

施設整備・機械導入は補助率1/2以内、施設整備の補助上限は国費で1年あたり5億円です。ただし補助を受けるのは、クラスター計画で「中心的な経営体」に位置づけられた畜産農家・農業法人・飼料生産組織です。食品メーカーが単独で加工施設を建てる使い方はできないため、畜産農家・JAなどとクラスター(協議会)を組成し、生産・加工・流通の一体的な体制をどう設計するかが出発点になります。 

酒蔵業で強い農業づくり総合支援交付金を活用できる条件は? 

原料となる酒米・大麦・大豆などの生産者との具体的な連携計画が必須です。「複数年契約による安定調達」「品種改良への協力」「収量増加に向けた営農指導」など、生産者側にメリットがある関係性を構築できているかが審査のキーになります。なお、酒類製造施設そのものが交付対象になるかは事前の確認が必要です。計画づくりの初期段階で都道府県の担当課にご相談ください。詳細はfood-hojo.jpの「強い農業づくり総合支援交付金シリーズ」で解説しています。

業種特有のHACCP要件(FSSC22000・ISO22000等)と補助金の関係は? 

HACCPハード事業では、輸出先国の政府機関が定めるHACCP等の要件に適合する施設の認定取得や、ISO22000・FSSC22000・JFS-C(一般財団法人 食品安全マネジメント協会が開発した日本発の規格)などの認証取得に必要な施設・設備の整備費が補助対象になります。業種によって取得しやすい認証が異なるため、自社業種に適した認証を選択し、その取得計画を申請書に盛り込むことが採択のポイントです。 

食品工場の建築費・補助金活用について、無料相談を実施中 

株式会社アカネサスは食品メーカー専門の補助金活用コンサルティング会社として、農林水産省「HACCPハード事業」において全国トップレベルの支援実績(2024年予算55億円のうち19億円が当社経由で採択)を有しています。 

補助金獲得からその先の工場建設・設備投資の合理化まで、一気通貫でご支援しています。建築費高騰局面での投資判断にお悩みの食品メーカー経営者の方は、お気軽にご相談ください。 

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

※本記事の内容は2026年5月時点の情報に基づいています。最新の公募情報は農林水産省の公式サイトをご確認ください。 

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