【2026年版】補助金の「入場券」になりつつある新制度「食料システム法の計画認定とは」認定で優先採択・加点を取る|4類型と申請の進め方  

食料システム法の計画認定とはのアイキャッチ

食料システム法という名前は聞いたが、自社に関係あるのか分からない… 

計画認定を取ると、補助金で何が変わるのか知りたい。 

2025年10月、食料システム法の「計画認定制度」が始まりました。農林水産大臣の認定を受けると、日本政策金融公庫の長期低利融資、税制の特例、そして補助事業での優先採択や審査の加点が受けられる仕組みです。 

見逃せないのは、令和9年度(2027年度)の概算要求で、この計画認定が複数の補助金の横串になったことです。産地連携促進総合対策事業、強い農業づくり総合支援交付金、フードテック関連事業などが「食料システム法を通じた支援」としてひとまとめに整理され、資料には「計画認定制度の認定を要件化」という表現まで登場しました。 

認定件数は、運用開始から2026年8月末までで111計画。国は2030年までに1,000件という目標を掲げています。つまり、いま動けば先行できる制度です。 

📋 この記事でわかること 
  • 食料システム法とは何か|なぜ今できたのか 
  • 【4類型】どんな計画が認定されるのか 
  • 【メリット】認定で得られる4つの支援 
  • 【2027年度】補助金が「認定を前提」に設計され始めた 
  • 【手順】申請の進め方と、相談先 
  • 【判断】自社は認定を取りに行くべきか 
  • 【FAQ】計画認定についてよくある質問 
  • まとめ:認定は目的ではなく、入場券 
目次

🏛️ 1. 食料システム法とは何か|なぜ今できたのか 

正式名称は「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」。長いので、通称の「食料システム法」で呼ばれます。2025年6月11日に成立し、6月18日に公布されました。 

もとは「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」(通称・食品等流通法)で、これを改称・拡充したものです。法律名が「食料システム法」になったのは2025年10月1日です。よく混同されますが、有事の食料確保を定めた「食料供給困難事態対策法」とは別の法律です。みどり認定などを定めた「みどりの食料システム法」とも、別の制度です。 

何のための法律か 

畑や海から工場、問屋、お店を通って食卓に届くまでの「つながり全体」を、コスト高の中でも保つための法律です。 

原料も燃料も人件費も上がり続けるなかで、しわ寄せがどこか一か所に集中すると、その工程が抜け落ちます。産地が細れば原料が来なくなり、物流が細れば届かなくなる。一社の努力では守れない部分を、法律で支える。そういう組み立てです。 

法律は2つの柱でできています。1つが「計画認定制度」で、前向きな取組をする事業者を支援するもの。もう1つが「取引の適正化」で、コスト上昇分を価格に反映させるための協議を促すものです。後者は2026年4月1日に全面施行され、関係省令は2026年1月30日に公布されました。米穀・野菜・豆腐・納豆・飲用牛乳が「指定飲食料品等」とされ、売り手・買い手の双方に、コストを反映するための協議に応じる努力義務がかかります。 

本記事で扱うのは、前者の計画認定制度です。 

📑 2. 【4類型】どんな計画が認定されるのか 

事業者が申請する事業活動の認定は、次の4類型です。このほかに、支援機関等が申請する「連携支援計画」という類型もあります。 

📊 認定の対象になる4類型 

類型 内容 食品メーカーの例 
① 安定取引関係確立 事業活動 生産者との安定的な取引関係を確立する取組 産地と複数年の取引を結び、数量と価格の取り決めを明文化する。産地に機械や資材を提供して生産を支える 
② 流通合理化 事業活動 流通を合理化する取組 共同配送や中継拠点の整備、受発注のデジタル化、パレット標準化などで物流を効率化する 
③ 環境負荷低減 事業活動 環境負荷を低減する取組 省エネ設備への更新、自然冷媒への切替、食品ロスの削減、容器包装のプラスチック削減 
④ 消費者選択支援 事業活動 消費者に選ばれるための情報提供の取組 産地や生産方法の見える化、カーボンフットプリントの表示、環境配慮の取組の情報発信 

食品メーカーにとって現実的な入口は、①の安定取引関係確立と③の環境負荷低減です。①は産地連携の補助金と、③は省エネや脱炭素の投資と、そのまま重なります。 

認定された111計画の内訳は、流通合理化が65件、安定取引関係確立が33件、環境負荷低減が10件、消費者選択支援が3件です(2026年8月末時点)。 

食料システム法の計画認定とは|認定111計画の類型別内訳(図解)

認定するのは農林水産大臣です。都道府県ではなく国が認定する点が、他の農水省系の制度と異なります。 

🎁 3. 【メリット】認定で得られる4つの支援 

認定を受けると、次の支援が受けられます。 

① 日本政策金融公庫による長期低利融資 

認定計画の実行に必要な設備投資について、公庫の長期・低利の融資を受けられます。補助金は後払いなので、つなぎ資金と自己負担分の調達が投資の実行を左右します。ここが効く場面は少なくありません。 

② 税制の特例 

中小企業経営強化税制などの税制特例の対象になります。脱炭素化に向けた投資に対する税制優遇も用意されています。 

③ 食品等持続的供給推進機構による債務保証 

金融機関からの借入に対する債務保証を受けられます。自己資本に余裕がない状態で大型投資に踏み切る場合、金融機関との交渉材料になります。 

④ 補助事業での優先採択・加点 

実務上、いちばん大きいのがこれです。計画認定事業者を対象とした補助事業が用意され、既存の補助金でも審査で加点されます。詳しくは次章で見ていきます。 

このほか、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)による設備等の供用、産業競争力強化法の特例(会社法の手続きの特例、登録免許税の最大80%軽減)、認定マークの使用も受けられます。登録免許税の軽減と会社法の特例は、企業規模を問いません。 

💴 4. 【2027年度】補助金が「認定を前提」に設計され始めた 

2026年8月31日に公表された令和9年度の概算要求で、食料システム法の位置づけが大きく変わりました。 

「食料システム法(計画認定制度)を通じた持続的な食料システム構築に向けた支援」という項目が独立して立てられ、要求額は328億1,100万円の内数(前年度125億4,400万円の内数)で、約2.6倍です。ここに、次の事業がぶら下げられています。 

  • 産地連携促進総合対策事業 
  • 強い農業づくり総合支援交付金(食料システム構築支援タイプ・卸売市場施設等支援タイプ) 
  • 持続可能な食品等流通総合対策事業 
  • 卸売市場再編集約等整備事業 
  • 食品ロス削減等総合対策事業 
  • 食品産業プラスチック資源循環対策事業 
  • フードテックビジネス実証・実装事業 
  • 地域食料システム構築・連携推進プラットフォーム事業 
  • フードテック活用食品産業効率化支援事業 
  • 地域型食品企業等連携促進事業 

そして、優遇の書きぶりはこうなっています。 

概算要求資料に並んだ表現 

「計画認定制度の認定を要件化」 

「計画認定制度の認定を受けている場合、審査時にポイント加算」 

「優先採択や審査時のポイント加算等を措置予定」

重要なのは、制度によって扱いが分かれることです。認定が応募の条件になる制度、加点にとどまる制度、関係しない制度があります。「認定を取れば全部有利になる」わけではありません。どの制度でどう扱われるかは、来年度の公募要領で確認が必要です。 

また、認定と採択は別の手続きです。認定を取ったからといって補助金が採択されるわけではなく、逆に認定がなくても採択される制度もあります。 

国の政策目標は、計画認定制度に基づく事業活動の取組数を2030年までに1,000件、農業・食料関連産業の国内生産額を2030年までに150兆円(2022年は114.2兆円)とすることです。1,000件という目標に対して、2026年8月末時点の認定は111計画。国としては認定を増やしたい段階にあり、それが補助金での優遇につながっていると読めます。 

🗺️ 5. 【手順】申請の進め方と、相談先 

相談窓口は、お近くの地方農政局等です。ただし、国庫補助を受けることが見込まれる場合や、複数の農政局の管轄にまたがる場合などは、本省(大臣官房新事業・食品産業部 食料システム連携推進室)が窓口になります。補助金を狙う場合は、この本省窓口に当たることが少なくありません。 

認定を取りに行くなら、次の順で進めるのが現実的です。 

食料システム法の計画認定とは|認定の準備から補助金の公募までの流れ(図解)

📊 認定を取りに行くときの進め方 

やること 中身 
1 類型を決める 4類型のどれで出すかを決めます。産地との取引を強化する投資なら①、省エネや脱炭素なら③。複数にまたがる場合は、主たる取組で判断します 
2 取組の中身と数字を固める 何を、どれだけ、いつまでに。産地との取引なら数量と期間、環境負荷低減なら削減量。認定計画は「やります」という宣言ではなく、数字の入った計画です 
3 相手方と合意する ①なら産地、②なら物流の相手。認定計画には連携する相手が出てきます。先に話をつけておかないと計画が書けません 
4 地方農政局等に相談する(国庫補助が見込まれる場合は本省) 認定の見込みと、必要な書類を確認します。ここで方向性がずれていれば、早い段階で修正できます 
5 計画を作成し、申請する 認定権者は農林水産大臣です。申請から認定までの期間は案件によります 
6 補助金の公募に備える 認定を取ったうえで、狙う補助金の公募要領を待ちます。認定と採択は別手続きです 

認定を受けた事業者には認定マークが用意されており、2026年5月に公表されました。取引先への説明材料としても使えます。 

🤔 6. 【判断】自社は認定を取りに行くべきか 

認定は無料で取れるものではありません。計画を作る手間と、相手方との調整が必要です。取りに行くべきかどうかは、次の観点で判断してください。 

取りに行く価値が高い会社 

  • 2027年度に産地連携や強い農業づくりで大型の設備投資を予定している会社。認定が要件化される可能性があるため、先に取っておくと安全です 
  • 産地との取引をすでに持っていて、それを数量ベースで増やす計画がある会社。①の類型がそのまま当てはまります 
  • 省エネ・脱炭素の設備投資を予定していて、税制優遇も併せて使いたい会社 
  • 金融機関からの借入条件を改善したい会社。低利融資と債務保証が効きます 

急がなくてよい会社 

  • 当面、大型の設備投資の予定がない会社。認定だけ取っても使い道がありません 
  • 経産省系の補助金を軸に考えている会社。食料システム法は農水省系の制度なので、直接の関係はありません 
  • 産地や物流の相手方との合意がまだない会社。まず事業計画そのものを整えるのが先です 

認定を取ること自体が目的になると、使わない計画を作ることになります。順番は、投資を決める、その投資を国の言葉で説明できるか考える、そのうえで認定と補助金を検討する、です。 

❓ 7. 【FAQ】計画認定についてよくある質問 

Q1. 大企業でも認定を受けられますか? 

食料システム法の計画認定に、企業規模の要件はありません。ただし、認定に付随する支援のうち中小企業向けの税制特例などは、それぞれの制度の要件に従います。一方で、産業競争力強化法の特例のように、規模を問わないものもあります。 

Q2. 認定を取れば、補助金は必ず採択されますか? 

なりません。認定と採択は別の手続きです。認定は応募の要件や審査の加点として働くもので、事業計画そのものの評価は別に行われます。 

Q3. 認定にはどれくらい時間がかかりますか? 

案件によります。計画の作成に必要な社内調整や相手方との合意に時間がかかるため、余裕をもって着手してください。2027年度の補助金を狙うなら、この秋から準備を始めるのが現実的です。 

Q4. 認定を受けた後、計画を変更できますか? 

変更の認定を受ける手続きがあります。投資の内容や時期が変わる場合は、地方農政局に相談してください。 

Q5. 「食料供給困難事態対策法」とは違うのですか? 

別の法律です。食料供給困難事態対策法は、有事における食料の確保を定めたもの。食料システム法は、平時のサプライチェーンを維持・強化するためのものです。 

Q6. 認定を受けると、何か義務が生じますか? 

認定計画の実施状況は、毎年度、各事業年度が終わってから3か月以内に報告します。計画期間は原則5年以内で、内容を変えるときは変更認定の手続きが必要です。目標に届かないことだけを理由に取り消されるわけではありませんが、認定計画に沿って取組を進めることが前提になります。 

📝 まとめ:認定は目的ではなく、入場券 

食料システム法の計画認定は、2025年10月に始まったばかりの制度です。認定件数は2026年8月末で111計画、国の目標は2030年に1,000件。まだ始まったばかりで、先行できる余地があります。 

そして令和9年度の概算要求で、この認定は農水省系の補助金の横串になりました。産地連携、強い農業づくり、フードテック。食品メーカーが狙う制度の多くが、この法律に紐づけられています。 

ただし、認定を取ること自体が目的になってはいけません。認定は入場券であって、賞ではないからです。まず投資を決める。その投資が産地や環境や消費者にどう効くかを説明できるようにする。そのうえで認定を取りに行く。この順番を崩さないでください。 

2027年度の補助金を狙うなら、認定の準備もこの秋からです。 

🎯 【まとめ】この記事のポイント 

✓ 食料システム法の計画認定は2025年10月に始まった制度。認定は2026年8月末で111計画、国の目標は2030年に1,000件で、いま動けば先行できる 

✓ 認定のメリットは、公庫の長期低利融資・税制特例・債務保証・補助事業での優先採択と加点、産業競争力強化法の特例。ただし使えるメリットは、制度ごとの要件や企業規模で変わる 

✓ 令和9年度の概算要求では、産地連携や強い農業づくりなどが認定を前提に整理された。認定は入場券であって賞ではないので、まず投資を決めてから取りに行く 

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(注)本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづきます。令和9年度の予算・補助金の内容は概算要求段階のものであり、成立した予算ではありません。認定の要件や手続きの詳細は、農林水産省の公式資料および地方農政局でご確認ください。 

✍️ この記事を書いた人

北條 竜太郎(ほうじょう りゅうたろう)|株式会社アカネサス 代表取締役

老舗どら焼きメーカー・茜丸を再建(22億円の債務を15年で完済)した経験から、

食品メーカー向けコンサルティング会社を設立。

補助金申請・工場設計・システム開発で食品製造業の成長を支援。

【会社実績】

・支援プロジェクト総事業費:363億円

・補助金採択額:126.5億円

・北海道から沖縄まで全国対応

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