設備別 補助金講座 第2回【逆引き】食品工場の設備別 補助金大全【2026】フライヤーから包装機・コンベヤまで170設備を制度にマッピング


フライヤーを更新したい。ものづくり補助金?省力化?それともHACCPの補助金?



包装機とコンベヤとX線検査機、まとめてラインを組みたいんだけど…
食品工場の設備投資は、農業と違って「経産省系の補助金がフルに使える」世界です。ただし制度が多く、投資規模・目的で最適解が変わります。この記事は、工場の工程順に設備を並べて本命制度を逆引きできるようにした一覧です。なお「ものづくり補助金」は2026年に新事業進出補助金と統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に名称が変わりました。本記事では新名称で表記します。
第1回が農業・畜産・水産の設備だったのに対し、今回は工場の中です。設備名から制度をたどれる「地図」としてお使いください。
使い方のコツは2つ。①まず投資規模で制度の階段を確かめる、②建物(増築・新築)が絡むなら農水省系も視野に入れる。
- 食品工場の設備を「工程別」に並べ、どの補助金が使えるかを逆引きできる(前処理〜加熱調理〜殺菌〜包装〜検査〜搬送〜ユーティリティの約170設備)
- 工場設備の主戦場=省力化投資補助金・新事業進出・ものづくり商業サービス補助金・HACCPハードの使い分け
- 投資規模で変わる制度の階段(数百万〜50億円まで)
- 「機械は出るが建物は出ない」問題と、建物まで狙う場合のルート
それでは、その階段から見ていきましょう。
📊 1. まず全体像:投資規模で決まる「制度の階段」
投資規模で制度が階段状に分かれる
食品工場の設備補助は、投資規模でおおむね次の階段になっています(いずれも要綱で確認済みの現行値。年度で変わるため要確認)。
| 投資のタイプ | 本命制度(補助率・上限) |
|---|---|
| カタログから選ぶ(〜1,500万円) | 省力化投資補助金・カタログ注文型(1/2・上限500万〜1,500万円)/国産切替・増なら産地連携支援(1/2・下限100万円〜) |
| 現場に合わせてオーダーメイド(〜1億円) | 省力化投資補助金・一般型(1/2〜2/3・上限750万〜8,000万円、大幅賃上げ特例で最大1億円)/産地連携支援(1/2)も同規模で使える |
| 新製品・新市場に踏み出す(〜9,000万円) | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(1/2又は2/3・革新的新製品・サービス枠750万〜3,500万円/新事業進出・グローバル枠2,500万〜9,000万円)/国産原料の新商品なら産地連携支援(1/2) |
| 国産原材料の切替・増加(100万〜2億円) | 産地連携支援緊急対策事業(1/2・上限2億円/産地支援の取組込み3億円・下限100万円※農水省) |
| 売上100億円を目指す大型投資(投資額1億円以上) | 中小企業成長加速化補助金(1/2・上限5億円・「100億宣言」と最低投資額1億円が前提) |
| さらに大型(投資額20億円以上/100億宣言企業は15億円以上) | 大規模成長投資補助金(1/3・上限50億円・従業員2,000人以下の中堅・中小企業が対象) |
| 輸出向けの施設・機器 | 輸出向けHACCP等対応施設整備(1/2)+輸出促進税制(機械30%・建物35%割増償却)。上限は予算の枠で変わる:R7補正=6億円(下限250万円)/R8当初=1億円(下限なし・50万円以上) |
※補助率・上限額・公募枠は年度および公募回により変わります。同じ制度でも「カタログ注文型」「一般型」など複数のメニューがあり、枠ごとに要件も上限も異なるため、申請前に必ず最新の公募要領でご確認ください。
※HACCPハードは、輸出先国の規制対応に必要な範囲が対象です。新設は「掛かり増し経費」(通常の建築費との差額)のみが補助対象で、工場を建てる費用の半分が出るわけではありません。補正予算の回と当初予算の回で上限額・下限額が大きく異なるため、どの枠に申請するかを先に確認してください。


規模とは別に開く「目的」の2レーン
投資規模の階段とは別に、「目的」で開く農水省レーンが2つあります。輸出ならHACCPハード、そして国産原材料への切替・増加なら産地連携支援緊急対策事業です。
ここで大事なのは、産地連携支援は設備の種類を選ばないということ。対象経費は「機械装置・システム構築費」全般で、フライヤーでも炊飯ラインでも殺菌機でも包装機でも、その投資が「産地と連携して国産原材料の取扱量を増やす計画」に必要なら対象になり得ます。
分かれ目は機械ではなく計画です——輸入原料から国産への切替(例:輸入ポテト→国産芋のフライヤー更新)でも、もともと国産の原料の取扱量拡大(例:国産米の炊飯ライン増設)でも構いません。要件は食料システム法に基づく計画認定+産地連携フォーラム参画、成果目標は国産原材料取扱量10%以上増加(令和11年度まで)。
補助率1/2・上限2億円(産地支援の取組込み3億円)は経産省系の省力化・新事業進出・ものづくりを大きく超え、しかも下限は100万円——カタログ型で買うような数百万円の設備更新から2億円のライン増設まで、投資規模を問わず同じ制度で受けられます。原料の国産比率や調達量を動かす投資なら、規模の大小にかかわらず最優先で検討する価値があります。なお飼料・ペットフード製造は対象外(公募時期・詳細は最新の公募要領で要確認)。
このため、以下の各章の表では省力化・新事業進出・ものづくりを「本命」として挙げますが、国産原材料の切替・増加が絡む場合はどの設備でも産地連携支援が上位候補に浮上する、と読み替えてください。
経産省系は機械が主戦場ですが、建物が一切出ないわけではありません。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の新事業進出枠・グローバル枠は建物費が対象(補助上限7,000万円、賃上げ特例で9,000万円)、大規模成長投資・成長加速化も建物費が対象です。ただし新築・増築を本格的に載せるなら、HACCPハード(構造耐力上主要な部分は対象外)か農水省系のルートのほうが枠が大きくなります。
→建屋の詳しい戦略は既存の「建築費高騰・投資戦略」記事群へ。


階段と2つのレーンが見えたところで、ここからは工程順に設備を並べていきます。まずは前処理・加熱調理です。
🔥 2. 前処理・加熱調理(洗う・切る・煮る・炊く・揚げる・焼く)
人手不足なら省力化、革新なら新事業進出・ものづくり
工程の心臓部。省力化・新事業進出・ものづくりの主戦場で、人手不足対応なら省力化、新商品・生産方式の革新なら新事業進出・ものづくり、という分け方が基本です。そして原料の国産切替・増量が絡むなら、どの設備でも産地連携支援(1/2・上限2億円)が上位候補です。
| 設備 | 本命制度 |
|---|---|
| 洗浄機・ピーラー・スライサー・ダイサー・チョッパー | 省力化(一般型/カタログ型)・新事業進出・ものづくり/国産野菜への切替・増なら産地連携支援(1/2) |
| 蒸気回転釜・煮炊釜・ニーダー | 新事業進出・ものづくり・省力化/国産原料の惣菜・餡なら産地連携支援(1/2)・6次化枠(農山漁村振興交付金) |
| 連続フライヤー・バッター/パン粉付け装置 | 省力化一般型・新事業進出・ものづくり/輸入ポテト・輸入野菜→国産切替なら産地連携支援(1/2) |
| オーブン・焼成炉・グリラー・スチームコンベクション | 省力化・新事業進出・ものづくり/国産小麦・米粉パンへの切替なら産地連携支援(1/2) |
| 連続炊飯ライン・洗米機 | 省力化一般型(大型ライン)・新事業進出・ものづくり/国産米の取扱量増なら産地連携支援(1/2) |
| 燻製機・蒸し機・解凍機 | 省力化・新事業進出・ものづくり/国産肉・国産魚への切替なら産地連携支援(1/2) |
※同じ設備でも、申請の切り口(人手不足への対応か、新商品・生産方式の革新か、国産原材料の切替・増加か)で使う制度が変わります。設備名からではなく「何のための投資か」から制度を選ぶと、要件との噛み合わせがよくなります。
加熱した先は、殺菌と冷却です。ここはHACCP・輸出対応と直結します。


🧊 3. 殺菌・充填・冷却冷凍
HACCP・輸出対応と直結するゾーン
輸出向けならHACCPハード(1/2)+輸出促進税制の併せ技が視野に入ります(※同一資産で補助金と割増償却の併用は不可・資産を分けて設計)。
| 設備 | 本命制度 |
|---|---|
| レトルト殺菌機・プレート殺菌機・UHT・パストライザー | HACCPハード(輸出向け)・新事業進出・ものづくり/国産原料レトルト・国産果汁なら産地連携支援(1/2) |
| 充填機(液体/粘体/無菌)・CIP洗浄装置 | 新事業進出・ものづくり・省力化・HACCPハード/産地連携支援(国産切替・増なら) |
| 急速冷凍機・スパイラルフリーザー・ブラストチラー | 省力化・新事業進出・ものづくり・HACCPハード/国産野菜・国産魚の冷凍なら産地連携支援(1/2) |
| 真空冷却機・チラー | 省力化・省エネ系 |
| プレハブ冷凍冷蔵庫・冷凍冷蔵倉庫 | 建物▲=HACCPハード・農水省系/冷凍機部分は省エネ系 →既存の冷凍設備記事へ |
※補助金と輸出促進税制(割増償却)は、同一資産では併用できません。ラインをまとめて組む場合は、補助金を充てる資産と税制を充てる資産を分けて設計する必要があります。


次は、業種ごとの顔になる成形・専用機です。
⚙️ 4. 成形・専用機(業種のコア設備)
業種専用機は「革新性」で勝負する
業種専用機は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の「革新的新製品・サービス枠」との相性が良いゾーンです。
| 設備 | 本命制度 |
|---|---|
| エクストルーダー・製麺機・製パンライン・包あん機 | 新事業進出・ものづくり・省力化/国産小麦・米粉への切替なら産地連携支援(1/2) →食品スタートアップ・フードテックの補助金講座 フードテック補助金まとめ |
| おにぎり成形機・ハンバーグ成形機・餃子製造機 | 省力化(カタログ型に多数)・新事業進出・ものづくり/国産米・国産肉野菜の取扱量増なら産地連携支援(1/2) |
| チョコ(テンパリング・エンローバー)・デポジッター | 新事業進出・ものづくり |
| ハム・ソーセージ(インジェクター・タンブラー・スタッファー) | 新事業進出・ものづくり・省力化→食肉輸出記事も参照 |
| 蒸留設備・クラフトビール醸造設備 | 新事業進出・ものづくり・酒類業振興(50万〜1,000万円・1/2) |
| 豆腐・納豆・チーズ・ヨーグルト設備 | 新事業進出・ものづくり・産地連携支援(国産大豆・国産乳への切替なら)・6次化枠 |
※業種専用機は「自社にとっての新規性」を説明できるかが分かれ目です。既存機の単純な更新は、どの制度でも通りにくくなります。
どの業種でも共通して効いてくるのが、この先の工程です。計量・包装・検査・搬送を見ていきます。
📦 5. 計量・包装・検査・搬送
カタログ型が最も充実しているゾーン
協働ロボット・自動倉庫・AGVまでカタログに載っており、登録製品を選ぶだけで申請できます。なお農水省側にも食品製造業向けの省力化モデル支援(食品産業省力化投資促進緊急対策・省力化技術導入支援:1/2以内)がありますが、令和7年度補正予算額は1億4,000万円というモデル事業の規模のため、実務の本命は引き続き経産省系です。
| 設備 | 本命制度 |
|---|---|
| 組合せ計量機・ピロー/深絞り/真空包装機・シール機 | 省力化(カタログ型)・新事業進出・ものづくり・産地連携支援(国産切替に伴う包材・ライン変更も対象)→既存の包装機記事へ |
| ラベラー・印字機・製函機・封函機・ケーサー | 省力化(カタログ型) |
| X線検査機・金属検出機・ウェイトチェッカー・画像検査 | 省力化・HACCPハード→既存のX線/金属検出記事へ |
| コンベヤ各種・ソーター・垂直搬送機 | 省力化・新事業進出・ものづくり(ライン一式で申請) |
| AGV・AMR・パレタイザー・協働ロボット・自動倉庫 | 省力化(1/2〜2/3)→既存の自動化記事へ ※ラック式自動倉庫は建物扱いの論点あり(建物扱いなら機械専用枠ではなく建物対象枠での申請を検討) |
| フォークリフト | 車両運搬具=対象外になりやすい(要件を要確認) |
※カタログ注文型は、事務局に登録された製品の中から選ぶ方式です。導入したい機種が登録されているかを先に確認しておくと、制度選びの手戻りがありません。登録がなければ一般型や新事業進出・ものづくりでの申請を検討することになります。
最後は、工場の足腰を支えるユーティリティ・衛生・ITです。
🔌 6. ユーティリティ・衛生・IT
省エネ・HACCP・デジタルで制度の毛色が変わる
工場の足腰にあたる設備です。同じ工場の中でも、ここだけは所管も申請の入口も別物になります。
| 設備 | 本命制度 |
|---|---|
| ボイラー・コンプレッサー・業務用空調・冷凍機 | 省エネ補助金系→既存の食品工場省エネ記事群へ |
| 太陽光発電・蓄電池・LED照明・EMS | 省エネ・GX系→既存記事へ(営農地なら営農型太陽光記事) |
| 排水処理施設・生ごみ処理装置・脱臭装置 | 環境系・自治体独自(数値は要確認) |
| クリーンルーム・エアシャワー・防虫設備 | HACCPハード→既存のクリーンルーム記事へ |
| 生産管理・HACCP温度記録IoT・受発注・POS | デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)→既存のIT導入記事へ |
※この領域は、工場設備のなかでも所管と制度の毛色が最も分かれます。省エネ、HACCP、デジタル化のどの文脈で申請するかを先に決めてから、機器の選定に入ると迷いません。
工程別の逆引き表は以上です。全体像を1枚の図でも確認しておきます。


※縦軸に投資規模の階段、横軸に工程を置くと、自社の投資がどのマスに入るかが見えてきます。輸出と国産原材料の2レーンは、このマス目とは別に走っています。
📝 まとめ
食品工場の設備補助は、制度の数こそ多いものの、「投資規模の階段」と「目的で開く2つのレーン」の2軸で整理すれば迷いません。最後に、この記事の要点を5つに絞って振り返ります。
- 工場設備は投資規模の階段で選ぶ:カタログ型(〜1,500万)→省力化一般型(〜1億)→新事業進出・ものづくり(〜9,000万)→成長加速化(5億)→大規模成長投資(50億)
- 規模の階段とは別に「目的」で開く農水省レーンが2つ:輸出=HACCPハード(1/2・上限6億)+輸出促進税制(機械30%・建物35%※同一資産での併用不可)、国産原材料の切替・増加=産地連携支援(1/2・上限2〜3億円)
- 産地連携支援は設備も規模も選ばない:フライヤー・炊飯ライン・殺菌機・包装機、どれでも「国産原材料の取扱量を増やす計画」に必要なら対象。下限100万円〜上限2億円まで、カタログ型クラスの小投資でも使える。決め手は機械ではなく計画(計画認定+フォーラム参画+取扱量10%増)
- 経産省系は機械向け。建物・ユーティリティ・ITはそれぞれ農水省系・省エネ系・デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入)と制度の毛色が変わる
- 補助率・上限・公募枠は年度で変わるため、申請前に最新の公募要領で要確認
「うちの設備がどの制度に当たるのか確かめたい」「国産原材料の切替で産地連携支援が使えるか相談したい」という方は、下記の無料相談をご利用ください。
「導入したい設備に、どの補助金が使えるか知りたい」
「ライン一式の投資を、どの制度にどう割り付けるか相談したい」
という方は、ぜひお気軽にご相談ください。 補助金の最適な設計を30分で整理する無料オンライン相談を実施中です。
次回(第3回)からは、検索の多い設備を1つずつ深掘りします。まずは「農業用ドローンの補助金」。機体購入・リース・オペレーター講習まで、使える制度を整理します。
【第2回】:【逆引き】食品工場の設備別 補助金大全 ◀今ここ
【第3回】:農業用ドローンの補助金(近日公開)
【第4回】:【逆引き】トラクター・農業機械の補助金(近日公開)
【第5回】:【逆引き】農業倉庫・低温倉庫の補助金(近日公開)
【第6回】:【逆引き】色彩選別機・乾燥機・精米機の補助金(近日公開)
【第7回】:キッチンカーの補助金(近日公開)








